地方政治クリエイト 1302東三河広域連合(上)

正念場の東三河広域連合!(下)

■自立の覚悟

 それだけに、防災、観光、産業振興、医療、環境保全などの取り組みがどこまで戦略的に展開して地域力を挙げ、一体的な地域づくりを進めることができるかにかかっている。
 そのためにも8市町村のそれぞれが知恵を集め、自立を目指す覚悟が必要だ。

 広域連合は全国で115を数える(昨年年7月1日現在)。その中で東三河広域連合は「権限移譲を含んだ全国初の総合的な広域連合」をめざすとするが、この一点を最優先に考えていただきたいものである。

 基調講演で南信州広域連合の連合長である牧野光明飯田市長が「東三河は東三河らしい広域連合を」という期待は、このことを示しているのではないだろうか。

■仕掛けづくり

 穂積新城市長は「広域連合長と広域連合は住民が直接選ぶ公選制にするべきだ」と今回も持論を展開し、そのために選挙費用は避けて通れないが県知事選と同時に行えば割安で済むとまで提案した。
 「東三河は一つ」との取り組みは久しい。またそのための東三河の壁を破る、界を超える取り組みは様々になされてきたが、発展の可能性を秘めながら時間だけが経過してきた。

 それだけに、東三河の住民が一つの目的のために連合長を選ぶ、また連合議会議員を選ぶことになれば、その投票行動を通じて住民は、広域連合を自分のものとして位置づけることができれば、その選挙費用は民主主義のコストとして許されるのではないだろうか。

■三重行政

 広域連合は「地方自治法」が規定しているように「広域計画」をもつことになる。
各市町村はすでに同法に従って各議会の議決を経て「基本構想・基本計画」をもっている。
  さらにこの地域では東三河県庁があり、「東三河振興ビジョン」も作られようとしている。

 このことが住民から見て広域連合をややこしくしている。もっと言えば、問題なのは「東三河県庁」のあいまいさである。「県庁」といいながら担当副知事は存在するが知事は存在しない。

 愛知県の歴史には「三河分県論」が厳然とある。それほどの覚悟が「東三河県庁」にあるのだろうか。でなければ大村知事の選挙公約の域を出ないのではないだろうか。
 東三河広域連合、さらに三遠南信広域連合という県境を超えようという流れに東三河県庁はどのような役割を果たすのだろうか。

■議会の出番

 シンポジュウムの参考資料として配布された「広域連携に関するアンケート結果」では「自治会等役員」「市町村議員」「行政管理職」それぞれにおいては5市1郡でかなりの意識の差があることがわかる。
 特に市町村議会議員の間にも積極派から、取り組むべきでないとする反対派の意見までかなりの温度差を示している。
 1月の「新春懇談会」、2月の「シンポジュウム」と首長の議論は深まっている。

 今度は、二元代表制の一角を担う議会の出番である。住民から負託を受けた各市町村議会が議会の権能を発揮しての真剣な、突っ込んだ議論を期待したい。
 その積み重ね無くして「新たな地方行政の形を全国に向けて発信していく」(設置目的)ことなど望めようがない。


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