■東三河広域連合
「地方自治法」第二百八十四条では「広域連合は、都道府県、市町村、特別区が設置することができ、これらの事務で広域にわたり処理することが適当であると認められるものに関し、広域計画を作成し、必要な連絡調整を図り、総合的かつ計画的に広域行政を推進します」としている。
この広域連合を東三河8市町村が構成員となり「暮らしやすく利便性の高い地域づくりをこれまで以上に一体的に進めていこう」とするのが東三河広域連合。
■広域連合への道程
東三河地域の持続的発展のために、その枠組みはどうあるべきかの具体的検討は07、08年の「広域合併・道州制検討会」、09、10年の「東三河の将来像研究会」、そして11年からの「東三河広域体制・連携事業検討会」と試行錯誤が繰り返されてきた結果として、この「東三河広域連合」という手法に絞り込んできた経過がある。
そして、昨年10月に豊橋市内で開かれた「三遠南信サミット2012in東三河」でのサミット宣言で「16(平成28)年度をめどとした三遠南信広域連合の設置」を明記したことで、「東三河広域連合」の展望がさらに広がった。
すでに浜松市域は07(平成19)年に政令市になっており、飯田市域は99(平成11)年に南信州広域連合が発足している。
ゆえに東三河広域連合をいち早く軌道に乗せることは喫緊の重要課題であり、本年4月から始まる13(平成25)年度には準備会をスタートさせていく必要があり、各市町村は新年度予算案でその重点事業として「東三河広域連合の設立準備」をあげ、予算計上がなされている。
■6市町長議論
3月予算議会直前の2月19日、愛知大学で行われた「広域連合シンポ」では佐原光一豊橋市長、山脇実豊川市長、稲葉正吉蒲郡市長、穂積亮次新城市長、鈴木克幸田原市長、横山光明北設楽郡町村会長(設楽町長)の6氏が広域連合の地点や課題について議論した。コーディネーターは同大学の戸田敏行教授。
市町村長にとって新年度予算編成はまちづくりの設計図であり、選挙公約の青写真でもある。それだけに、予算計上されている広域連合について、真剣な議論がなされた。
■生活の都づくり
広域連合のメリットとして佐原豊橋市長が強調したように「一緒に取り組めば、より質の高い行政サービスを提供できる」ことなのであろうが、ならば「質の高い行政サービスとは何か」という点である。
あらかじめ示された資料では、消費生活相談の共同実施、保健所や児童相談所の運営、農地転用許可や県管理の道路や河川、港湾などの管理整備などがあげられているが、これらが東三河78万人の住民にとって、どこまで享受できるのだろうか。
ともすれば「広域連合」は各自治体の事業を共同で処理することによる効率行政に集約されるが、そのことは今の時代ではいかにしてシステム化するかという技術論の問題である。 もっと重要なのは東三河という豊かな大地に住民主役の「生活の都」づくりがなされていくかということではないだろうか。