地方政治クリエイト 新春懇談会 乱れ飛ぶ6本の矢(上)

「東三河は一つ」は不可能か

 1月11日(金)、恒例の東三河を代表する産学官民のリーダーや事業者250人が集まり、「東三河5市長1郡町村会長を囲む新春懇談会」がホテルアークリッシュ豊橋で開かれた。

 佐原光一豊橋市長、山脇実豊川市長、稲葉正吉蒲郡市長、穂積亮次新城市長、鈴木克幸田原市長、横山光明北設楽郡町村会長(設楽町長)の6氏が壇上に並んだ。コーディネーターは佐藤元彦愛知大学学長。

 話しのテーマはあらかじめ決めてあって、「減災・防災への取り組み」と「東三河広域連合の課題」。なかでも後者のテーマになったら発言はバラバラ、六本の矢が乱れ飛んで、危ない(?)「懇談会」となった。

■屋上屋のあいまいさ

「地域力の結集が不可欠な時代に東三河8市町村が連携してやっていこうということで広域連合を選んだ。基礎自治体としてトップランナーをめざし、地域力を高めることになっていく。それにより地域全体の利益につながっていく・・・。 
 それにより「住民に質の高い行政サービスを提供できる。東三河の将来のために一緒になってスクラムを組んでいきたい」と豊橋市長。

 「東三河県庁、東三河振興ビジョンに屋上屋を重ねることにならないかが課題である」とした。東三河県庁が3年目を迎えるが、県庁と言いながら、担当副知事が在勤する中途半端な形。分県して、文字通り県知事も置いて、県議会も置くような覚悟もないあいまいさ。その上に「東三河振興ビジョン」を作るという。地方自治法で位置づけられ、各議会で議決された基本構想・基本計画が8市町村にはある。その上での、県の振興ビジョンとは何か。所詮、それらの最大公約数か。

■一本の矢を強固に

 豊川市長は「外に目を向けるより、市域の一体感が先」とB―1グランプリや、豊川市民病院が5月の開院に向けアピール。

 また「駅伝のまち」として高校生や中学生が全国大会で優秀な成績を修めていることをPR。70周年のキャッチフレーズやイナリン君の紹介にも一生懸命。

 考えてみれば、合併で港も、「本宮の湯」も手に入れて、インターは二つ、公共鉄道は三つ。そりゃ、もう最高の立地条件ですもの。まず一本の矢を強固にすることの方が最優先ですという言外の言葉が聞こえてきました。納得です。

■慎重、稲葉の白兎

 「東三河のスクラムに加わっていますが、理想論でなく現実に何を具体化していくのか。広域連合を組織して、蒲郡市にとって、蒲郡市民にとってプラスになるのか、どうかが最大のポイント。広域連合でなければできないことをもっと掘り下げるべきだ。
 ましてや、その先に三遠南信広域連合があるという考えには賛成できない。別物です」と蒲郡市長。

 そりゃーそうだらー。「東三河は一つ」は豊川運命共同体の異名。その豊川から一滴の水ももらってないのですから、フリーハンドでしょうよ。「市民の利益が見えなければ・・」次の言葉は、顔に書いてありましたよ。

■南北分断・東西拡散・穂積果敢

 新東名、三遠南信道路の工事がダイナミックに新城地域を変えようとしている。今でさえ、豊橋よりも、浜松、豊田、名古屋が近くなった。二つの動脈が南北、東西を結んだら、新城の劇的変化は明らか。

 それだけに、新城市長は「このままでいいじゃないかでなく、広域連合の長や議会に解職請求ができる―すなわち住民が住民の意志で新しい自治体を作っていくのが広域連合です。その政治的意思を明確にするために、長と議会を公選制にすべきだ」と持論を展開。

 「事務連合でなく、チャーター(憲章)もしっかり立てようではないか、さすれば住民意識も高まってくる」と論理明解。

 吉田城が乗っ取られそうな勢いに吉田城下の民は「ブルッ」。


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