地方政治クリエイト 12月定例田原市議会傍聴記(下)

「半島に忍び寄る少子高齢化の波」

■観光振興

 渥美半島の観光に輝きを取り戻したいと「渥観議連」の一員として、研鑽や提言に取り組む小川貴夫氏(田原新政会)は観光振興について取り上げた。
 平成26年10月、緑が浜に完成予定のメガソーラは面積80ha、太陽光パネル22万枚が並ぶ壮観な風景を観光資源として、蔵王山展望台からの眺めとコラボレイトしようとする計画などに意欲的な提案を行った。

 観光戦略を通じて、人づくり、地域づくりに取り組もうとする熱意に溢れていた。

■学校規模適正化

 彦坂久伸氏(田原新政会)が質問した。
 田原市では少子化の進展の中で小規模校では複式学級への移行が余儀なくされる事態も出てきており、学校規模の適正化―統廃合は喫緊の課題となっている。
彦坂氏は建替えを検討しなければならない老朽化した小規模学校は小学校では4校、中学校では2校あり、学校の建替え、高台移転と併せて検討すべきと提案した。

■公共交通

 全国的にも路線バスが相次ぎ廃止される中で、田原市においても運営赤字が続けば、市内の公共バスなどはなくなる可能性があると長神隆士氏(田原新政会)が取り上げた。
 都市形成や地域づくりには路線バスの必要性を認めながらも、バス利用促進の戦略は決め手に欠き負の連鎖を招きかねない状況であることが浮き彫りになった。 市内高校生の2割がバス通学をしており、また高齢者の日常生活にも大きな影響が考えられる深刻な問題である。
 長神氏は「市民月一バス利用運動」を提案していたが、市民がどこまで実践できるだろうか。

■津波防災訓練

 杉浦文平氏(無所属クラブ)は11月10日に行われた田原市津波・地震防災訓練の検証と今後の取り組みについて質問した。
 杉浦氏は津波避難施設について、袋井市が盛り土で人工の山を造り、平時は公園とし、有事には避難施設となる「命山」を提案したが、説得力があった。

■空き家の活用

 全国的にも問題になっている空き家の問題について荒木茂氏(田原新政会)が取り上げた。
 当局は田原市の空き家は1960戸あり、空き家率は9.6%であること。空き家の解消には所有者による安全な管理を前提とし、空き家・空き地バンクには改修助成制度も用意し利活用していること。老朽化した空き家には所有者に解体・撤去を求めているとした。

 荒木氏は空き家バンクでの活用実績は約4年間で13件であり、制度は活用できていないとしたが、財産権もあり難しい問題である。


 二日間の一般質問は少子高齢化の波は渥美半島に様々な影を落としていることを示している。半島ならではの深刻さも感じられる。
 それだけに、市長と議会が両輪となって諸課題に真摯に、懸命に取り組んでいただきたいものである。


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