地方政治クリエイト 12月定例田原市議会傍聴記(上)

「地に足が着いた議論を」

 多くの政党が競い日本の針路を問う選挙も重要であるが、住民に身近な、生活に密着した地方議会の議論もまた重要である。地方の活性化なくして、日本の展望は開けないからである。様々な課題に地に足が着いた議論を望みたい。

■子ども・子育て

 辻史子氏(公明)は「社会保障と税の一体改革」で成立した「子ども・子育て関連三法」に伴い、平成27年を目途に実施される準備組織の立ち上げ、事業計画策定、そのための地域のニーズ調査、子ども子育て会議などについて当局の考え方を聞いた。
 自らの子育て経験や、保育士として教育現場一筋の経験から組み立てて欲しいテーマである。
 田原市議会初の女性議員だからこその議論の展開のために研鑽を望みたい。

■新年度予算編成

 大竹正章氏(市民会議)は来年度予算編成の基本方針とする「選択と集中」、「市民の参加と協働」についてとりあげ、ハード、ソフトを連結するオペレーションの重要性、成長から成熟社会への転換点の中での自助・公助・共助のあり方、提案型公共サービス民営化制度などに論を進め、斬新な議論となった。

■バイオマス発電

 畜産からの糞尿、食品廃棄物を中心にバイオマス発電・資源の活用を考えるべきとしたのは仲谷政弘氏(田原新政会)。
 当局はバイオマス発電は設備投資やランニングコストが割高で、処理工程で発生する消化液の処理が課題であることを明らかにした。
 仲谷氏は自ら視察したオランダでのバイオマス発電事情を示し、年間66万dの畜産排泄物の利活用のために、積極的な取組みを要請した。

■まちづくり

 太田由紀夫氏(田原新政会)は「福江・清田地区地域整備計画」について取り上げた。
 自ら地域に入り込み、仲間と共に汗を流し、知恵を出しあい、郷土を田原のサブ核にしようと取り組んでいる熱い思いが伝わってくる質問だった。
 「参加と協働による街づくりは行政の提案に市民が協働するだけでなく、市民が提案し、行政が支援する。両方があるべきです」と持論を展開。

 市長は「渥美半島の中で福江市街地の役割は大きく、住民の参画、情熱が大事であり、確実に取り組んでいきたい」と答えた。

■入札契約制度

 入札契約制度の改革、取り組み状況を取り上げたのは牧野京史氏(田原新政会)。
 予定価格の上限拘束性、総合評価方式の評価基準、随意契約の継続事業などの課題、長所、短所などを丁寧に論じた。

 そして、「入札契約制度は時代の変化と共に改善されていくことが不可欠であり、公共工事の特質に適合した競争環境を作ることが地域経済活性化につながり、公正な行政に導く」と、微妙な問題を冷静に議論したのはさすがである。


ホームページに戻る 直言メニュー