地方政治クリエイト 9月定例田原市議会傍聴記(下)

「施設の老朽化対策に活発な議論」

■老朽化対策

 全国的にも高度成長期に整備された社会資本の老朽化対策が大きな課題となっている中で、田原市が導入しようとするファシリティマネジメントに関連した質問が続いた。
特に田原市はそれぞれの行政機能を有した3町の合併で市民一人当たりの公共施設の所有状況が5.97u(全国平均3.42u)と同規模自治体で最大という実態がある。

 鈴木義彦氏(田原新生会)は公共施設の総合的なマネージメントを行うために必要な職員の意識改革がなかなか進まないことを問題にした。
 副市長が市民の側に立った日々改善活動で取り組んでいくとしたが、仕組みを変えなければ、意識は変わらないのでないだろうか。

 牧野京史氏(田原新生会)はその推進の方向性についてただした。今後10年間の更新費用だけでも年間30億円、維持費も5〜7億円という財源問題は大きな課題であり、長寿命化と併せて保有総量の縮小にどう取り組むのか、難しいかじ取りである。

 また大竹正章氏(市民会議)はデフレ下における公共投資の重要性を説き、老朽施設の修繕と更新を即効性のある地域活性化策にするような取り組みを要請した。
 この場合、老朽化が進む前に必要最小限の費用で、長寿命化を行う「予防保全」の費用対効果に言及すれば、更に説得力が増したのでなかろうか。

■福祉ボランティア

 長神隆士氏(田原新生会)は保育園や学校現場で高齢者や子供たちの交流を通じてボランティアの心を地域で育てられないかと問題提起した。
 健康福祉部長は制度化するよりも、地域福祉サポート委員会を核に市民ボランティアを広げていきたいとした。
 自ら保育園に出向き手品などで交流している体験からか優しさがにじみでた質問だった。

■AED設置

 平松昭徳氏(田原新生会)は救急現場での救命率向上のたに大きな役割を果たすAEDの設置状況について取り上げた。
 市内には144ヶ所に設置してあるが、愛知AEDマップへの登録は52ヶ所、24時間対応できるのは5ヵ所という実態が示された。
 24時間営業のコンビニなどが20ヶ所あると調査したのだから、それらへの設置促進を強く、要請していただきたかった。

■観光ビューロー

 田原市観光協会が民営化され、「渥美半島観光ビューロー」となって1年が経過した。その成果と今後の展開についてただしたのは杉浦文平氏(無所属)。
 会議の出席率や、会員数の推移なども大事であろうが、半島ならではの多様な観光資源を生かして、どのような観光戦略で、中部の昇龍道プロジェクトにつなぎ、観光ビューローを自立させていくかの議論が欲しかった。


 田原市議会では一問一答形式で進む。一問一答が、断片的な質問の出し入れになると議論の深まりがなされないまま時間が経過する。実りある議論のために研鑽と工夫を望みたい。


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