8月末に内閣府の検討会が発表した南海トラフ巨大地震による被害想定では、東三河で最大津波高22メートル、市域の13%が浸水すると予想された田原市。9月4日、5日に行われた田原市議会一般質問では地震津波対策に質問が集中した。
■避難所運営訓練
辻史子氏(公明)は8月に南三陸町、石巻市などの被災地を巡り、避難所で暮らす住民や、派遣されている職員、被災者に寄り添って活動する女性議員などとの交流を通じて得た情報をもとに、実践的な避難所運営訓練の必要性を訴えた。
特に仮設トイレの設置や運用は高齢者や女性の視点で取り組むことを強く要請した。「現場」に足を運んでの議論は力強かった。
■水道の被害想定
河合喜嗣氏(田原新生会)は水道施設の被害想定と復旧計画について尋ねた。 水道部長は田原市の水道管の耐震化率は11.4%で三連動地震想定では水道管の破損、漏水は免れないとしたうえで、発災後3日目には応急給水が、4週間で平常給水が可能となることを示した。
また今後の幹線水道管の耐震改修費用は10年で60億円は必要として、「水道料金の改定も視野に財源確保を検討する」という答弁に対し、一般会計からの繰入、防災公共事業などについて議論を深めていただきたかった。
■防災林
三方を海で囲まれた田原市にとって、在来樹木を生かした防災林の重要性を主張したのは仲谷政弘氏(田原新生会)。
海岸防災林は津波の水位と速度を下げ、避難時間を稼ぐことができる。また波が引くときは、人命を救い、家具などの財産が海に流失するのを食い止める効果があることは、東日本大震災で実証されている。
防災対策の柱に、いのちを守る緑の防災林、防潮堤を位置付けることの大切さを印象付けた。
■避難訓練
柴田登氏(田原新生会)は大震災から1年半、防災・減災対策はどこまで進んだのかについて様々な角度から取り上げた。
その中で堀切小では予想される様々なパターンを想定し、父兄、地域住民なども参加して避難訓練を行い、体力づくりにも取り組んでいることなどが示された。 想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれ」という「釜石の軌跡」に学び、子どもたちの防災教育による意識の高まりが、地域に広がることを期待したい。
■業務継続計画
赤尾昌昭氏(田原新生会)は防災計画の見直しの中で行政機関自体の被災は加味されていないとして、業務継続計画の必要性を訴えた。
総務省の調査によれば全体の8割を占める人口10万人未満の自治体の同計画の策定率は1割にも満たない実情があり、県下の全自治体でも策定済みの市町村はない。
それだけに臨海部の企業が取り組む事業継続計画に学び、策定に取り組んでいただきたい。また、その計画に沿って訓練に訓練を重ねて実効性のあるものにしていただきたい。発災時に何よりも重要な人命救助のために。
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