地方政治クリエイト 6月定例豊橋市議会傍聴記(下)

「トリプル選挙に向けて」

■財政の見える化

 「6月は民間の多くの企業で株主総会が開催されます。総会では株主にその一年間行ってきた企業活動の報告と今後の方向性について報告されます」と切り出したのは廣田勉氏(まちフォーラム)。財務諸表、資産台帳、総務省方式改訂モデル・・と次々に展開していく。
「財政の見える化」のために「ファシリティマネジメントにおける施設情報の活用」を要請した。同じように市営住宅問題や、市街化区域の設定問題についても切れ味のある質問を展開した。

 企業内で薫陶を受けてきたメンバーで構成される「まちフォーラム」会派の存在が、市議会の政策立案活動をリードしていることを証明するに充分な質問だった。

■福祉窓口の統合

 今年4月1日から豊橋市総合福祉センター(あいトピア)2階に開設された、障がいのある方等が気軽に生活や就労の相談ができる「とよはし総合相談支援センター」での相談業務の考え方などについて取り上げたのは近藤喜典氏(新政未来)。
 「基幹窓口としてのワンストップサービスの実現について着実に取り組んでいきたい」という答弁を引き出したが、そのための「財政的裏付けについては発言を控えさせていただきますが」とした。何故、具体的日程とそのための予算化に切り込まないのか!

 「議員さんは提案することがお仕事ですから、どうぞ思い切りお話し下さい。『着実に取り組んでまいります』ということは、『ご提案の通り具体化致します』ということではありません」という言葉が答弁の裏に隠されていることを知って欲しい。

■机・椅子の購入問題

 今回も、寺本泰之氏(紘基会)はこの問題を取り上げ「直接メーカーから購入する方法もあるのに、中間業者を入れて購入した理由を伺う」と迫った。

 一般競争入札とは何か、予定価格とは何か、こうした基本的なことを、しっかり勉強していただきたい。

 また、ゾウの群れ飼育について、「市民の声を聞くためにアンケートを実施せよ」と迫る。38万市民の多様な意見を反映するために、選挙を通じて選ばれた36人の議員が、議論して、議決していくという議会の仕組みを、きちんと理解していただきたい。
 また、この問題について市民から寄せられた意見が手元にあるのなら、丁寧に紹介して、質問を組み立てるべきでないのか。20分も時間を余して降壇したが、こういう議員が、ことあるごとに地方自治法第2条を引いて「最小の経費で最大の効果を挙げなければならない」と主張する拙(つたな)さをいつまで続けるのだろうか。

■観光振興

 伊藤篤哉氏(豊流会)は観光振興政策について「東三河の豊富な観光資源を8市町村が一体となった取組みで戦略化していくために、東三河観光基本計画が必要ではないか。またそのリーダーシップを豊橋市長がとるべきだ」などと持論を展開して、認識と対応を繰り返し質問していた。
 学生のゼミ発表のような質問から、そろそろ殻を破り、豊橋の大地に根を下ろした、生活の匂いのする政策論議にシフトすべきでないのか。

■市民病院の充実

 最後の一般質問に登壇したのは小原昌子氏(豊流会)。

 周産期医療センターの役割と取り組み、救急医療の現況、患者総合支援センターの現況などについて聞いた。
 現況を分析し、そこから課題を浮き上がらせ、その対策を政策として提案し、それに基づいて予算と工程が組み込まれ、具体化させていくという一般質問のPDCA手法を身につけていただきたい。

 一般質問は議員の責務を果たすための戦場です。ゆえに、そこに臨むにあたって必要なのは技術です。その技術を磨くために勉強が必要なのです。

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 6月議会が終わると、豊橋市は市長選、衆院選、参院選のトリプル選挙の一年に入る。議会と議員がこれらの修羅場でどのような役割を果たしていくのか。今後の、動向に注目したい。


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