地方政治クリエイト 6月定例豊橋市議会傍聴記(中)

「深みのある議論のために勉強を!」

■市民参画

 「市長への手紙」や「地域懇談会」などの広聴業務、7年前から始まっている「パブリックコメント制度」について山本賢太郎氏(新政未来)が取り上げた。
 傾聴力、表現力、想像力を意識した「広聴力」や「広聴マインド」の重要性を確認し、情報の提供と情報の共有の双方向が必要であることを主張した。
 朝一番で登壇したものの、第一問が終わるや質問通告の範囲を超えているという事で「議事進行!」がかけられ中断するという事態。
「冷や汗」の連続だったろうが、人間は恥をかいて、悔しい思いをした分だけ、成長できるものだ。勉強だ!大いに勉強だ!

■広域連合

 豊田一雄氏(新政未来)は「広域連合」によりどんな分野で地域の持続可能性を高めることができるのか、また地域のプレゼンス(存在感)を高めることにどのようにつながっていくのか。また「広域連合」と東三河広域協議会、東三河県庁、あるいは東三河ビジョン協議会との連携についてただした。

 「広域連合」は複数の自治体にまたがって共通する政策を執行する機関。4年前の市長選で、佐原市長は公約のいの一番に「東三河政令市の実現」を挙げたが、現実味がなくなったことから、それに代わるものとして、具体化に向けた動きが広がっている。それだけに、秋の市長選を前に注目される議論となった。

 豊田氏は地域の持続的発展を促すために、防災や、環境、観光だけでなく三河港の管理、工業用地の造成などに広域連合は取り組むべきでないか、そのためにも製造品出荷額が高い湖西市を加えるべきだと持論を展開し、「将来的にどのように発展させるのか」と迫った。
 市長は「地域の主役は住民であり、東三河8市町村が地域の課題に取り組んでいくなかで、次の姿が見えてくる」と答えた。

■がれき広域処理

 渡辺則子氏(市民会議)は4月17日の県市長会における広域処理に関して、市長はどのような意見を表明したのか、それについて県はどのように答えたのか。また、県知事が田原市内の企業敷地内で進める最終処分場計画に対して、東三河協議会会長として市長が果たすべき役割などについて聞いた。
 環境部長は「処理施設建設についてのロードマップを示すべきだ」「農産物に対する風評被害が心配」「現地で処理し、再生利用したほうが現地に役立つのではないか」と意見表明したことや、「田原市だけの課題でなく東三河が一体となって対応すべき問題として捉えている」とした。
 更に渡辺氏は市長に発言を求めたが、「今後、広域処理の妥当性が確認できた段階で、東三河協議会で検討していく」とする従来の考えを環境部長が答え、市長は最後まで答弁に立たなかった。市長自らきちんと答えることに何故に躊躇されるのかわからない。市長選まであと半年だというのに。

■農産物のブランド化

 向坂秀之氏(豊流会)が農産物のブランド化の取組みについて取り上げた。
 しかし、生産者自体がどのような取り組みをして、ブランド化や六次産業化などに挑戦しているのかが見えてこない議論に終始して、元気のない議論になった。行政、補助金頼みでは限界があることをもって知るべきである。

■保育行政

 杉浦正和氏(新政未来)は少子化社会の進展の中で、保育の質の確保と多様なニーズへの対応が求められる時代であることから、運営費補助、人件費補助、特別保育補助などの見直しを含めて、「子育てにやさしい」保育行政を訴えた。
 自ら子育て中のイクメン議員が、真正面から「子育て」を語る姿は好感がもてた。 国が示している「子ども・子育て新システム」にまで論を進めていくと、もっと深みのある議論になったのではなかろうか。


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