地方政治クリエイト 6月定例豊橋市議会傍聴記(上)

「課題山積!シャキッとせよ豊橋市議会」

 日本経済は長引くデフレ状態から抜けだせず、「税と社会保障改革」も波乱含みで、視界ゼロのぎりぎりの攻防が続いています。  そして、豊橋においても課題は山積であるのに一般質問登壇者は全部で十五人。毎年恒例の「五月の乱」でお疲れなのでしょうか。いっその事、議長・副議長は毎年抽選にして、そこで費やすエネルギーを豊橋の活性化に向けませんか!それこそが最大の「議会改革」ではありませんか。秋の市長選を前にシャキッとせよ!豊橋市議会!

■エネルギー政策

 牧野英敏氏(共産)が自然エネルギー導入政策について取り上げ、「東三河地域の特徴を生かして、連携したエネルギー政策を推進すべき」と主張した。
 石油や石炭など化石燃料は二酸化酸素を大量に排出し、いずれは枯渇する。しかし、再生可能エネルギーはクリーンエネルギーであり、何度でも利用できるというメリットがある。来月1日からは、再生可能エネルギーの利用促進を目指した「固定価格買取制度」もスタートする。
 こうした背景と、市最終処分場の市有地での東海地方初のメガソーラ発電の事業化が豊橋市民の将来にどのような影響をもたらすのかを、持論である「脱原発依存」の視点から論じていただきたかった。

■特別支援教育

 「特殊教育」から「特別支援教育」に変わって5年、その現状と課題について聞いたのは尾林伸治氏(公明)。
 発達障がい児に対する支援策として、教科書を読むことが困難な児童のために、教科書の内容をパソコンなどを使って音声や文字を同時再生する「デイジー教科書」の活用や知的な遅れはないが、読んだり書いたりすることが苦手な人たち―ディスレクシアの人たちのことを取り上げた。
 論議が抽象的に終始したのは、具体的な事例がベースにないからである。何故にこの問題を取り上げたのかも不明のまま30分で降壇した。

 二年目に入り、一期生議員も新人の二文字が消え、真価が試されていることを肝に銘じるべきである。

■災害がれき対策

 鈴木義則氏(公明)と斎藤啓氏(共産)が取り上げた。

 鈴木氏は「東三河広域協議会の結論としては『東三河としては災害廃棄物は受け入れないというのが結論ではない』ということでいいのか」と質し、東三河広域協議会会長でもある佐原光一市長に確認した。
 鈴木氏は市民の間には「被災地内に焼却場を建設した方が、雇用確保にもつながり効果的なのでは」との声があることを意識して、「被災地の多くはもともと平地が少ないリアス式の地形を持ち、焼却場に適した用地の確保は容易でない。雇用も、被災者が求めているのは一時的ながれき処理作業でなく、長く働ける仕事だ」と論点整理をしていたが、明快だった。

 斎藤氏は「必要性、安全性、住民の合意が大原則」であることを確認した上で、「市民への正確な情報提供を要請した。環境部長は「国や県からの情報や広域協議会の検討結果などを市民に丁寧に提供していく」とした。
<  また5月に訪問した震災現場の状況を伝える中で「一年経っても、自分の家に戻る展望はもとより、どこに住むかさえ決まらない状況だ」という言葉を伝えていたが、重い言葉だった。

■自転車事故防止

 市原亨吾氏(豊流会)は安全で快適な自転車通行環境の確保に向けた考え方について取り上げた。「必ずしも安全で快適なスペースが確保できているとはいえない」としたうえで「道路状況にかんがみて新たな自転車専用の通行空間の確保は難しい。よって車道に通行位置の明示などで対応していきたい」との都市計画部長の答弁に対して、「面的な自転車ネットワークの構築」に論を展開したが、説得力に欠けた。
 自転車で市内を駆け巡って、通行環境をつぶさに検証して、足で組み立てないと市民には響かないことを肝に銘じてほしい。


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