地方政治クリエイト 6月定例田原市議会傍聴記(下)

「個人技から議会の集団技に」

◆街づくり

 辻史子議員(公明)は、全国で相次いで起きた通学路での悲惨な事故から、誰もが安全に通行できる街づくりについてと、避難所にもなる小中学校施設の非構造部材の耐震対策について取り上げた。
 市議会初の女性議員らしい問題提起だったが、通学路を実際に歩き、学校施設を自ら点検しての現場からの報告があれば、もっと説得力ある質問となったのではなかろうか。

 土地開発公社が開発してきた住宅の居住状況や、新たに売り出されるグリーンタウン大久保の開発の意図と今後の展開について取り上げたのは長神隆士議員(田原新生会)。空き家・空き地バンクへの登録や、周辺道路整備などを提案し、きめ細かい組み立てだった。

 彦坂久伸議員(田原新生会)は加治・南部保育園の統合による新保育園整備と漆田保育園の民営化への取組みについて取り上げた。
 適正化を円滑に推進していくには、保護者、地域ひいては市民の理解と協力が不可欠であり、保育園の適正化、民営化に取り組むにあたっては「経済性優先の考え方であってはならない」との主張は歯切れがよかった。

◆観光行政

 小川貴夫議員(田原新生会)は「田原市観光基本計画」が「新“田原市”の観光資源を整理分析し、課題・問題点を洗い出す」としていることから、その取り組み状況を取り上げた。
 伊良湖周辺施設の利用数は減少傾向にあるなかで、伊勢湾フェリーの利用者は昨年11月以降、目標とする35万人を超え、「菜の花祭り」には17万人、赤羽根の「ロングビーチ」などへの来場者は一日2万人を超えるなど明るい話題もあり、観光戦略の必要性を説いた。
 特に「伊良湖フラワーパーク跡地整備」、「弥八島周辺における観光拠点整備」、「温泉・温浴施設開発」などの実現には民間資本の参画が不可欠であり、具体化は容易でない印象を受けた。
 しかし、三河田原駅とその周辺整備」が来秋完成することやどんぶり街道などの「食のプロジェクト」と連携し「渥美半島観光ビューロー」を核に官民が協力して、アジアマーケットにまで視野を広げて戦略的に取り組むべきことを要請した。
「メガソーラ」や「ニューイヤー駅伝」などの新しいメニュも話題性があっておもしろい。

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 今回、田原市議会のテレビ中継を何度も、何度も繰り返し見る機会を持った。 一問一答のやり取りが、断片的になって、連続性に欠けるような場面もあったが、総じて、渥美半島の土の匂いがにじみ出てくるような地域に密着した真摯な議会活動を知ることができた。

 そして、それは、いちはやく「議会基本条例」を制定し、「議会報告会」を真面目に積み重ねてきた実践に裏打ちされているからこそであることに気がつく。

 ともすれば個人技であった議員活動が議会としての集団技に変わろうとしている新しい風を田原市議会で感じた。


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