地方政治クリエイト

6月定例田原市議会傍聴記@
「がれき処理問題で緊迫」

 平成22年12月定例会において、東三河地方では初めての「議会基本条例」を制定した田原市議会。昨年一月の改選から一年半を経過した田原市議会に今、大きな課題が投げかけられている。愛知県による東日本大震災で発生した震災がれき受け入れ問題である。県と市の関係、そして東三河協議会と田原市の関係、そして何よりも復興支援とはどうあるべきか・・課題は重い。その渦中で開かれた6月定例会での一般質問は大いに注目された。

◆がれき処理問題

 県が4月に、トヨタ自動車田原工場など3ヶ所にがれきの仮置き場や焼却施設、焼却灰の最終処分場などを新設する計画を発表するや田原市議会の動きは早かった。5月に実に18会場で「議会報告会」を開いた。その最初の報告会が行われた衣笠市民館で取材させていただいたが、その一生懸命さを目の当たりにして、同議会基本条例第14条「議会は、多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする」に懸命な実践の姿に感銘を受けた。

 牧野京史議員(田原新生会)は「広域処理が被災地にとって本当に必要な支援なのか、また復興への緊急優先課題は他にあるのではないか」と持論を展開し、広域処理の必要性、災害廃棄物の安全性、県の政策決定プロセスの正当性について質した。
 その中で牧野議員は「一般廃棄物処理は市町村の自治事務であり、自治体と住民をカヤの外に置いた、強権的やり方は納得できるものではない」と言葉は穏やかであったが、説得力があった。
 鈴木克幸市長も「これは一自治体の問題ではなく、東三河広域協議会で対応していこうと検討している。県のプロセスは異例の手順で進められている。市民の安全安心を守るのが第一義だ」と答え注目された。

 藤井敏久議員(田原新生会)は市民の不安を少しでも減らす一助になればと、東三河広域協議会の被災地の視察調査結果、トヨタ自動車田原工場の敷地を選んだ県の考え、地元説明会の開催、地元産業への影響、 風評被害などについて端的に質問した。
 最後に「地方分権、地方主権の時代に県はあまりにも強権的ではないか」と締めた。

 杉浦文平議員(無所属)は「議会報告会」での市民の反応を紹介しながら、「市民の不安は、日ごとに高まる一方であり、市としての明確な態度表明が急務である」と主張。
 質問の中でがれき処理に関わる建設コストや運搬コストを明示し、焼却灰は放射性セシウムが1kgあたり8000ベクレル以下とする国の安全基準については。これを「トン」に展開し、予定される「40万d」に展開するなど明快だった。
 「田原市民の声と東三河広域協議会の意見が違ったらどう調整するのか」と迫ったが、市民環境部長は「市民の皆さんの理解が大前提」との答弁に終始した。「当事者は田原市であり、田原市民である。市としての態度を明確にして同協議会に臨むべきだ」との主張は地方議会人の誇りが感じられた。


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