地方政治クリエイト

3月定例豊橋市議会傍聴記C
「子どもたちの未来に向けて」

■自転車政策

 伊藤篤哉議員(豊流会)が取り上げた自転車問題には「持続可能な都市づくり」を踏まえた総合的な観点が必要であり、単なる交通政策の問題ではないはず。あらゆる政策手段を動員した政策体系づくりにつなげていただきたい。
 昨年秋に伊藤議員の近所での自転車事故で亡くなられた女子高生のためにも。

■小学校通学制度

 斎藤啓議員(共産)は岩田、幸、吉田方小の過大校解消のために導入された特定地域隣接校選択制度について取り上げ、地域行事へのかかわりなど地域コミュニュティづくりに影響がでている事を問題提起した。豊橋のコミュニュティは居住区が指定する小学校区で形成されてきた経過もあり、人間の日常を制度で変えることの難しさを浮き彫りにした。

 逆に小規模校対策として始まった下条、賀茂、嵩山小学校での特認校制度について星野隆輝議員(まちフォーラム)が取り上げた。来年度も15名が利用する予定であるが、魅力ある学校教育の充実や、制度の周知の徹底が望まれている。
 また、通学に要する保護者への負担が課題であり、スクールバスの議論までが出てきたが、小規模校での教育をどうするかという本質的な問題であるはず。

■メタンハイドレード

 松崎議員(新政未来)が取り上げた将来の国産クリーンエネルギーとして大きく期待されているメタンハイドレード。産出試験が渥美半島沖で始まったのを機に、本市産業の活性化に寄与する可能性について市当局は「動向を注視し情報収集に努めたい」として、具体的な言及を避けた。
 これには大きな課題がある。何よりもどれだけのガスを取り出せるかは未知数、そのための安定した技術も不可欠。ハードルは高い。

■浜名湖ボート事故

 2年前の6月におこった浜名湖でのボート事故。その調査報告書に基づき再発防止問題を取り上げた渡辺則子議員(市民会議)。
 答弁で加藤教育長が「調査報告書では本市や章南中学校について言及されていないが、報告書の中の静岡県教委と三ケ日青年の家を、本市教委や当該中学校に置き換えて読み取り、教訓を自然体験活動の安全対策に生かしていく」と答えたのが印象的だった。

三ケ日青年の家にはありし日の花菜さんの姿をかたどった「希望の朝」の像が設置されている。この事件が豊橋の子どもたちの希望の未来へ繋げることが、この事件を風化させないことになるのではないだろうか。

■新しい公共

 芳賀議員がNPO法改正に伴う対応についてただした。今回の改正は、寄付に対して税制優遇を受けられる「認定NPO法人」を大幅に増やすことなどが目的で行われたもの。
 観光や農業などの地域ニーズに裾野を広げ、豊橋の68団体のNPO活動が大きく動き出すことを期待したい。それがまた、寄付文化の拡大につながるのではないだろうか。


 三月議会の議論は多岐にわたり、熱心な議論が続いた。
 3・11は「お任せ地方自治では生命も、財産も、家庭も、ふる里も守れない」ことを教えてくれた。住民意識は大きく変わりつつある。今秋の市長選が近づくにつれ更に、増幅されていくだろう。
 その中で議会がどのような役割を果たしていくのか、大いに注目していきたい。
(完)


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