地方政治クリエイト

3月定例豊橋市議会傍聴記B
「大震災から一年、地震対策に活発な議論」

 3月議会では大震災から満一年という事もあり、多くの議員が地震対策を取り上げた。 ■地域防災力

牧野英敏議員(共産)は地域防災力の強化のために消防力の強化について論じた。国の示す消防力の基準との開きについて、特に人員については国の基準である513人に対して現状は323名と190名もの差があることを問題にした。
「自治体の裁量権もあるが公助の要である消防本部の体制を縮減して一定の水準が確保できるのか」とクギを刺した。行政の効率化=人員削減一辺倒の行革のあり方への問題提起であり、説得力があった。

■情報提供

 沢田都史子議員(公明)は緊急地震速報や情報提供機能を問題にした。特に緊急地震速報がどのようなものか市民に理解されていないとし、市民にわかりやすく広報すべきことを提案した。
 大震災の時には情報がすべてであり、正確な情報を迅速にどのように提供するかによって救われる命もある。よって被災者のニーズにかなった情報提供体制の確立は重要である。

■飲料水・トイレ等

 中村竜彦議員(豊流会)は大地震が発生した場合の飲料水、トイレ、調理器具や燃料などについて確認した。
 耐震性貯水槽の配置のない小中学校での飲料水の確保のために井戸を掘るべきでないか。またマンホールトイレを各避難所に配置できないか、また市内には保育園が57園あり、給食設備も備えていることから避難所として活用できないかなど矢継ぎばやに「これでもか、これでもか」と提案していたが、懸命さは伝わってきた。

■震災がれき処理

 山田静雄議員(新生未来)は、大震災復興の大きな足かせになっているがれきの広域処理について取り上げ、豊橋市の考えを聞いた。
 当局は「まずは県の方針を確認したい。受け入れの方向が出れば、すでに受け入れている自治体の情報を集め、東三河の周辺自治体と連携を図って取り組む」と答えた。
 静岡県島田市などで「東北を助けたい」という首長の決断が、思わぬ混乱を招いていることを踏まえての慎重な答弁なのだろうが、県の方針や指示待ち、周辺自治体との横並び意識という旧来の考え方が踏襲された。「自主・自立」を標榜する市長の意思が知りたかった。  

 環境省が2月21日に発表した処理状況によれば全体の5%に留まっている。放射性物質への誤解や懸念が背景にあり、がれきの安全性をめぐる政府の周知不足も否めない。
 もちろん震災がれきを受け入れる側に万が一の健康被害があってはならないが、その上で、身の回りの放射能をいたずらに恐がるのでなく、正しい知識を持って冷静な判断をすることが求められているのではないだろうか。

■公営事業の民営化

 尾崎雅輝議員(新政未来)が北部調理場の2年間のPFI事業を検証しながら、他の三調理場のPFI事業への移行を促した。
 学校給食協会の公益法人化への動きもあるなかで人件費コストだけでなく「安全・安定した給食事業をどのように担保していくのか」に言及して議論したのは好感が持てた。

  上下水道事業の民営化も論じたが、「市の資産や技術を民間に任せ、市は新産業に挑戦していくべきだ」との発想は飛躍過ぎていないか。同事業が企業会計で行われている意味を深めて欲しい


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