地方政治クリエイト

3月定例豊橋市議会傍聴記@
「秋の市長選へ大事な代表質問」

 豊橋市は今秋11月に市長選を控えている。38万市民を擁する中核市の豊橋としてだけでなく、東三河の中核都市として、また三遠南信の一翼を担う豊橋市の市長選の成りゆきは、大きな影響力を持つ。
すでに出馬宣言している佐原市長が、その目指すものは何なのか。その青写真の具体的な設計図こそ新年度予算案であり、その意味で注目の3月議会である。
 そして、3月議会中にあの東北大震災から満一年を迎える。今後、どのように地域防災力を高めていくのか。議会での真剣な議論を期待したい。

■東三河広域連合

 3月7日に再開した豊橋市議会の論戦の幕は代表質問から始まった。 最大会派の鈴木道夫(新政未来)議員は、市政運営や予算編成、東三河広域連携強化の基本認識を市長に質した。

   特に東三河の連携については、市長は東三河8市町村がスクラムを組んで東三河広域連合を設置し、新たな地域主権の形を実現したい」と意欲を示した。「佐原マニフェスト」が真っ先に掲げたのは「東三河政令市の実現へ」であっただけに、その成否が市長選の争点になりかねない様相もある中での、踏み込んだ発言だった。

 その背景には「東三河広域協議会」で長年かけて、医療、消防・防災、産業などで一体感を醸成し、取り組んできた積み重ねから、広域連携を一層強化・実現していく新たな組織が待たれていた。 また、「東三河県庁」も4月から発足していく。これらに相呼応した次の一手である。
 ただ、穂積亮次・新城市長の提唱する「穂の国連邦」構想もこの広域連合を指すが、その最大の特徴は、広域連合に直接選挙で「長」と「議会」を置くという点である。その点について再質問で議論していただきたかった。

■マニフェスト採点

 古関充宏議員(豊流会)はマニフェストの達成度についてとりあげた。佐原市長は「掲げた項目のおよそ9割は手がけた。自己採点では、75点〜80点」と答えた。

 豊流会ではマニフェストに掲げた百項目のうち達成した項目には2点、取組み中のそれは1点、未着手には0点とした採点を行い合計136点、百点満点に換算して68点とした。
 豊流会は4年前の佐原市長誕生の原動力になった自民系の市議が中心に構成されている。一般的な言い方をすれば「市長与党」であるはず。しかし地方議会は国会のような首長の指名権を持たない。
ゆえに地方議会には議会という機関が「全体として批判的機能を担う」というところに大きな意味があり、二元代表制のポイントである。それだけに、マニフェストを冷静に採点した行為は、大いに評価できる取組みである。

■身近なBCP

 宮澤佐知子議員(公明)は「地震対策」について取り上げた。市の公共施設の安全対策や復旧・復興の要である市職員の危機管理意識を取り上げた。市職員へのアンケートの結果では「自宅の地震対策をしていない」は72%、「家具の転倒防止をしていない」は45%という実態から、「いざという時に市民を守るために救援体制を作れるのか」と問題提起した。

 そして、自ら冷蔵庫などの転倒防止対策に手間取った体験から、全ての悲劇は自分の家が倒れることから始まることを指摘し、「我が家のBCP(災害時に事業を継続し、早期復旧する計画)こそ最大の防災対策である」と訴えた。

 生活に密着した質問の組み立ては、説得力があり、災害対策にこそ女性の視点が不可欠なことを印象付けた。


ホームページに戻る 直言メニュー