地方政治クリエイト

12月定例豊橋市議会傍聴記B

■新年度予算編成

 前日から新年度予算編成について会派を代表する質問が続いたが、牧野英敏議員(共産)が大震災以降の経済の落ち込みや円高による製造業への影響からの税収見通し、復興財源や消費税の中長期的な影響などについて具体的に質問を展開したのはさすがである。それに併せて、市民の関心の高い国民健康保険税と介護保険料についても取り上げたが、市民生活密着の課題であるだけに注目された。

 前田浩伸議員(豊流会)は市長の3年間の評価について取り上げた。市長は「市長就任以来3年間、地方行政を取り巻く様々な変化の中で、先頭に立って着実に進めてきた。市民、職員の創意工夫で多くの成果を上げることができ、その取組みのなかからほのぼのとした話題もいくつか提供できた」と答えた。同議員は「市長がマニフェストで掲げた事業の進捗の総括をすべきだ」と確認した。

 深山修三議員(まちフォーラム)も新年度予算編成に伴う重点化、重点事業について質した。その中で、特に市民病院の人材確保策、特に勤務医が足りない全国的な傾向からその対応を取り上げた。病院当局は「研修医を毎年20人近く受け入れ、優秀な医師に育て上げるよう、研修プログラムの評価や研修状況の評価を外部の評価機関に審査してもらっている」、「大学病院との連携で優秀な医師の確保に努めている」などと答えた。また医師不足に関連し、豊川市民病院などでベッド数が増加していく傾向にあり、看護士の奨学金制度の確立も要請した。

■災害対策

 女性の視点を活かした避難所運営の認識と対応について力を込めたのは沢田都史子議員(公明)。避難所では赤ちゃん用救援物資や、衛生用品や女性用化粧品、間仕切りや着替えスペースなど様々に女性の側からのニーズが問題になりました。「女性の視点を含めた男女共同参画を反映した「避難所運営マニュアル」への改正を訴えた。自ら地元で防災レディースを立ち上げ、DIG(参加者が地図を使って防災対策を検討する訓練)やHUG(避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲーム)を経験してきているだけに説得力があった。

 市原亨吾議員(豊流会)も避難所のあり方について取り上げた。特に今年9月21日の台風15号の時に豊川が増水し避難勧告が発令されたが、河川流域の町単位での発令となっている。しかし、例えば牛川町と言っても霞提付近の字川口から山際の乗小路までの広範囲に及び、土地の形状や環境に合わせて細分化した避難勧告の発令基準の見直しを求めた。

■まちづくり

 郊外部におけるまちづくりについては星野隆輝議員(まちフォーラム)がとりあげた。特に市が今年度スタ−卜した都市計画マスタープランにおいて中心部重視の「コンパクトシティ化」を一層進める方針であることから、「郊外部に住む市民からすれば、インフラ整備が不完全な中で、郊外部の切り捨て″ではないかという感は否めない」として「公共交通ネットワークにおける交通結節機能の強化」を要請した。10年間の各校区の高齢化進展や高齢化率から「都市機能の集積と地域拠点の構築」を訴えたが説得力があった。

■補助金交付規則

 12月議会の掉尾は寺本泰之議員(紘基会)。市の補助金交付要綱には見積書、設計書等の添付を義務付けているが、商工会議所が本年8月に行ったプレミアム付き商品券発行事業において、補助金6000万円の交付申請に際し、見積書添付を義務付けなかったのは理由について切り込んだ。
 「見積書添付が不可能な事業は、事業完了後の実績報告の後に清算している」と説明したが、後から堀内副市長が「本会議の模様は市民も中継されて見ておられるので、商工会議所への補助金が、あいまいとの誤解を受けやすいので、イベント事業やソフト事業については補助対象経費の項目や内容が多岐にわたり、見積書添付が不可能であり、義務化はできない」と理解を求めた。

 前回(9月豊橋市議会傍聴記)にも書いたが、開かれた議会の一端として、ケーブルテレビやインターネットで同時中継されているだけに、公開時代の答弁のあり方、質問の仕方についてもっともっと工夫して、市民に身近な議会を目指していただきたい。

 なお、最後に苦言を一つ。10月14日に市議会議場で「豊橋市とヴォルフスブルグ市の友好都市提携」が結ばれた。それに先立ち、10月3日から8日まで堀内一孝副市長を団長とし、佐藤多一副議長が副団長。それに各会派を代表する形で市議6人が派遣され、提携内容を詰める他、小学校や美術館を訪問し、実務面から友好都市提携の具体的な内容について検討したと報道されている。その費用は385万円。これらの内容について、報告する形で本会議場で取り上げられる議員がおられなかったのは残念である。勿論、報告書は発刊されるのでしょうが・・・・。


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