地方政治クリエイト

12月定例豊橋市議会傍聴記A


■新年度予算編成

 現在、市財務部を中心に新年度予算編成が急ピッチで進んでいる。予算案は市長の公約の青写真であり、街づくりの設計書であり、その基本となるのは市長の政策方針である。3月議会になれば分厚い予算書が議会に上程されてくる。それだけに12月議会で各会派を代表して団長なり、政策責任者が登壇して来年度予算編成について議論を展開するのは重要なことである。ましてや、佐原市政にとって最後の予算編成でもあり、その予算は来秋の市長選の大きなポイントになるはずである。

 宮澤佐知子議員(公明)は「市長にとって、締めくくりの予算編成にどう臨むのか」と質した。市長は「大震災、政権交代、鳥インフル対策などの予想できない変化の中で、シティポロモーションなどに一定の成果を収めてきた。厳しい財政状況の中で安全安心の街づくり、教育、福祉、産業振興などに職員の英知を結集して、きめ細かなサービスに取り組んで生きたい」と答えている

 杉浦正和議員(新政未来)は中長期財政見通しなどを取り上げたが、市長は復興財源、税と社会保障の動向を注視しながら安定した財政運営に努める。扶養控除の廃止などによる税制改正、財源確保のためにも産業振興が欠かせないとの認識を示した。同議員は社会保障費について「本当に必要な市民に手当てがなされているのか」と迫り、「産業振興と雇用の確保のためにも、内陸部での企業誘致策」を問題提起し、「土地の有効活用による企業用地の確保」を提案していたが説得力があった。

 廣田 勉議員(まちフォーラム)は「事業の選択と集中に取り組むべき」と主張し「地域力による多様な協働による事業の推進、新たな財源確保」を質した。歳入状況が厳しい中で、NPO、指定管理者などとの連携や、継続的雇用の場を如何に確保するかの明確な産業施策を要請した。市当局は農工商の異分野交流などに積極的に取り組んでいくとしたが、需要低迷、円高が中小企業を厚く覆っている現状認識がなされているのかと疑わざるを得ないような答弁は残念だった。

■浜岡原発停止問題

 渡辺則子議員(市民会議)は市民の毎日の暮らしの安全と安心を実現するために、現在停止中の中部電力・浜岡原発について、市役所から70`の地にあることからも、「廃炉表明すべき」と市長に迫った。  市長は、社会経済への影響、CO2の増加、発電単価の増加などのリスクを挙げて、慎重に対応されるべき」との答えに留まった。

 福島第一原発の事故後、浜岡原発の永久停止などを求めて六市(いずれも静岡県内)の議会が意見書が可決された。うち牧之原、菊川、御前崎の三市は、浜岡原発から半径10`圏内にあり、国から交付金が支給される四市(残りは掛川市)でつくる「浜岡原発安全等対策協議会」のメンバー。西原牧之原市長も「永久停止」に同意し、浜岡原発の再稼働時は住民投票を実施すると表明し、国もその結果を尊重するとしている。
 「浜岡で事故が起きれば、東京電力福島第1原発とは比べものにならないほど悲惨なものになる」などと浜岡原発廃炉訴訟が進行中であるが、隣の三上元・湖西市長はその原告に加わっている。同市長は9月に豊橋市内でシンポジュウムも開いている。

■街づくりにマーケット戦略

 山本賢太郎議員(新生未来)はシティプロモーション推進室設置以来8ヶ月の成果と「シティプロモーション事業補助金」の検証について論じた。「知名度」「認知度」をあげるだけでいいのか、「38万市民全員が宣伝マンとなって取り組むべきだ」と持論を展開。若手職員の「豊橋行こまいデートプラン」や「豊橋サイクリングプラン」などを紹介しながらマーケット戦略の必要性を説いた。

■マネージメント力の強化

 豊田一雄議員(新政未来)は人材育成の取組みをスペシャリスト(専門職)、エキスパート(専任職)、ゼネラリスト(総合職)の割合について論じ、少数精鋭主義での育成とともに、能力開発研修や階層別研修の課題についても言及し、マネージメント力の強化の必要性を説いた。地元企業で人事労務管理から経営戦略に携わってきて得られた経験則が発揮された質問内容であったが、当局がどこまで理解し得ただろうか。

■「瀬古道」整備

 尾崎雅輝議員(新政未来)は現在整備中の「駒谷」の整備に併せた「瀬古道」の整備を訴えた。前提として東京の神楽坂、谷中、向島や京都の祇園南、大阪の法善寺横丁などを紹介しながら、「路地や瀬古道文化」を語る姿は郷土―二川への愛情に満ちていたし、文化的価値から整備を求め、「路地裏サミット」誘致まで言及する熱意は好感が持てた。


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