地方政治クリエイト

9月定例豊橋市議会傍聴記A

■地震対策、津波対策など活発な議論

 9月議会一般質問登壇者26人のうち大震災を踏まえた地震対策、津波対策を取り上げた議員は1/3にあたる9人。大震災から6ヶ月、防災月間の9月議会だけに真剣な議論が行われた。

 伊藤篤哉議員(豊流会)は災害時応援協定や自主防災組織の幾つかの課題について取り上げた。特に自主防災組織での訓練実施率が六割に留まり、地域間格差があることから自主防災組織の質の向上や自主防災組織をつなぐ校区を超えた連絡協議会の必要性を説いた。

 岡本泰議員(まちフォーラム)は人命救助機能の強化のために豊橋版ハイパーレスキュー隊の必要性、また災害対策本部へ自衛官OBを災害対策専門官としての採用を提案した。説得力ある提案で、当局も前向きな答弁で応えた。

 古関充宏議員(豊橋クラブ)は国・県における防災基本計画や被害予測の見直しと並行して本市の地域防災計画の修正を行い実効性ある対策をとることと併せて、防災拠点としての学校施設や市民病院など既存施設の総点検を提案し、防災機能の強化を要請した。

 宮澤佐知子議員(公明)は学校を地域の「防災拠点」として利用する際の課題、特に学校教職員の役割の明確化についてとりあげた。東北の震災現場で教職員が不眠不休で避難所運営に取り組んだ実態からの問題提起である。当局は市職員を張り付けて避難所運営委員会で運営し、教職員の仕事とは役割分担するとしているが、避難してきているのは父兄であり、教え子たちでもあり、難しい問題である。

 前田浩伸議員(豊流会)は防災教育、防災意識の普及啓発の場として中消防署に併設してある防災センターが開設以来19年が経過し、展示機器や機能が限界にきており、時代にあった防災センターの在り方を迫った。

■電力問題、エネルギー問題に言及

 企業活動における再生可能エネルギーの導入について取り上げた伊藤篤哉議員(豊流会)。国内最大のメガソーラ施設が隣の田原市で具体化してくるなど省電力から創電力への転換を促すための新エネルギー導入の機運は盛り上がっている。そのための普及啓発や産学官ネットワークの確立を求めた。

 芳賀裕崇議員(まちフォーラム)も地球温暖化対策への取組みから再生エネルギーの有効活用について論じ、太陽光発電が加速度的に広がっている状況から目標とする2万KWの達成を5年前倒しして平成27年度末とする。また下水道汚泥やメガソーラの地域内設置も検討しているとの答弁を引き出した。

 「電力多消費型社会」から「省エネ・エコ社会」への転換を取り上げた宮澤佐知子議員(公明)は省エネから創エネ、そして蓄エネの時代であり、既存住宅の省エネ化がなかなか進まないことから省エネ機器への補助制度などを提案した。

 再生エネルギーについては、世界的に導入の機運が高まる中で日本はトップクラスの技術を持ちながら再生可能エネルギーの導入は遅れて、足踏みしている状態であるが、「節電の夏」を経て、八月26日には「再生エネルギー特別措置法」が成立したこともあり、一歩突っ込んだ内容となった。

■原発関連にチェック体制の強化を要請

 渡辺則子議員(とよはし市民会議)は安心・健全・快適な市民生活環境実現のため放射線量測定について体制を整えるべきことを主張し、「震災がれき」の受け入れについては徹底した情報提供と市民の理解が最優先であり、受入から処理までのそれぞれで放射線チェックが必要であることを確認した。この問題は斎藤啓議員(共産)も通り上げたが、受け入れについては国からは具体的な指示は来ていないとのこと。

 沢田都史子議員(公明)は原発事故による風評被害から農畜産物を守るための取組みについて取り上げた。食肉流通センターにおいて十月から独自に牛肉の放射線チェックを行う事、また牛肉がどこからきて、どこへ行ったかの移動経歴が明確になるようなトレサビリティの情報をもっと市民が利用しやすくホームページに掲載することを約した。質問の中で農蓄産物価格の推移や食肉市場での競り値の変化などで具体的に示すともっと説得力があったのではないか。

 また市原亨吾議員(豊流会)も放射能の影響を受けやすい子どもたちへの安全・安心な学校給食の取組みについて取り上げた。野菜類や肉類などについて食品衛生法に基づく安全性を確認して提供していることを確認した。


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