伊藤ひであきの年頭所感

視界ゼロの日本政治を打破するもの(2011/1/1)

●質素ながら、たくましい庶民

 年の瀬の凛とした空気が張り詰める三八朝市。

 戦前から始まったという3と8の日に開かれる「三八朝市」。昭和40年代は人並みであふれ、約百店が店を並べたという。今は、そのにぎわいはなくなり、年末最後(12月28日)の店は15店。それでも、朝市は買い物広場であり、井戸端会議の場であり、交流の場であり、人間広場である。

 この朝市に「ほんまもんの政治をめざして 『ひであきレポート』」の旗を立て、手作りの「ひであきレポート」を、配り続けてきて24年。ここは青空市民相談の場となり、青空政治討論の場になった。一束50円のネギや、一山100円の里芋、一匹120円のたい焼きを買い求める、質素ながら、元気なそしてたくましい庶民群・・。

●ほころび明らかな民主党政権

 それとは裏腹に、うんざりするような政治劇が続けられている。「反小沢VS親小沢」・・・長い間、さんざん見せつけられてきたストーリーがまた、年末から年始にかけて延々と繰り広げられていく。

 国民不在の党内抗争にうつつを抜かしているから、来年度の政府予算案も、昨年に続いて借金が税収を上回るという異常な内容。その上で、子ども手当、高速道路無料化や農家の戸別所得補償などの公約関連項目は、予算を上積みしている。財源を無視したバラマキ公約の破綻はいまや誰の目にも明白だというのに、理解しがたい対応である。国民生活の安心・安全を確保するには程遠く、将来世代へのツケ回しだけが増えた格好である。
 来年度税制改正大綱も同じ事が言える。政府は、法人税率の5%引き下げを今回の目玉に挙げるが、それを行う1兆5000億円の財源の確保が不十分なままの“見切り発車”となっている。

 政治の軸がはっきりしないから、ほころびが明らかになる。その場しのぎの“帳尻合わせ”がいつまで続くのだろう。民主党政権から我々が学ぶべきことがあるとすれば、政治に近道や特効薬はないということ、絵空事は通じないということ。

●生活現場からの政治勢力こそ時代の要請

 少子高齢化に拍車がかかり、社会保障費は毎年1兆円超のペースで増える。その財源の裏付けは全くない。社会保障の将来像が展望できずに、国民一人一人が安心な人生設計など描きようがない。

 我々はこんな暗い民主政治に別れを告げ、グローバルな世界に向かって、新たなる坂の上の雲に向かって行かなければならないのだ。そのために切るべき患部はバッサリと切り、成熟した国家をずしりと背負って揺るがない日本を築いていかなければならないのだ。

 視界ゼロの日本政治を突破するものは何か。庶民の利益や生活を、どう守っていくのか。厳しい生活を送っている人たちの暮らしを、どうやわらげていくのか。庶民の生活現場に機軸を置いた政治勢力が、より重要な鍵を握っていることだけは間違いない時代の要請である。


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