伊藤ひであきの地方からの提言

'10地方から 名古屋市議会が守らなければならないもの@ (9/14)

 9月10日夜、名古屋・栄の教育会館で行われた名古屋市議会主催の「名古屋の未来を考えるシンポジュウム」に参加した。

 盛んに報道される河村名古屋市長と名古屋市議会の対決−「名古屋の乱」。何が問題になっているのか、その本質は何かを自分なりに見極めるためである。そして、名古屋市議会で起こっていることは、我が豊橋市議会とは関係のないことなのかどうか、全国の地方議会でも起こりうることなのかどうかも確かめなければならないからである。

 会場は定員の300人を超えて開会前から立ち見客が一杯、報道陣も多数詰めかけ緊張した雰囲気。何しろ全会派一致しての市議会主催のシンポジュウムである。

●議会は市民の皆さんと本当に向き合ってきただろうか

 主催者を代表して挨拶した横井議長は挨拶の中で「市長と議会は二元代表制のもとで、切磋琢磨し独立して、市政の両輪として頑張っていこうという関係であります。ところが河村市長は先頭に立って議会の解散のためのリコールを先導している。その背景には、議会は議会として問題点があったのだろう。議会は市民の皆さんと本当に向き合ってきたのだろうか、市民の皆さんに信頼されてきたのだろうかという反省点もある」と述べられたが、「その通りだ!」と思った。

●借金をして減税する矛盾

 冒頭、4人のパネラーからレポートがあった。

 関西大学の上村教授:市民税を減税しようという杉並区の行政にかかわってきた。名古屋は借金をしながら減税しようとしている、またそれを急ぎすぎている。少子高齢社会の中で福祉財源をどのように捻出できるのかが大事。名古屋市の来年度予算では226億円の減税しようとしているが、997億円の市債を発行しようとしている。

●議員はもっと存在価値を示せ

 名古屋大学の後教授:二元代表制は憲法に書いてあるが、二元代表制のもとで首長と議会の多数派のねじれがおこれば、この解決策はない。今まで、この問題が注目されてこなかったのは、ほとんどがオール与党の相乗りで行われてきたからである。
 これをどうするかが根本問題。議会には拒否権だけが認められており、予算提案権が認められておらず、議員内閣制を提案するくらいの存在価値を示せ。議員が今が楽だから今のままでいいというなら定数も報酬も議論の余地はない。

●議会が第一義的な市民の代表

 愛知大学法科大学院の小林教授:河村市長は「地域住民の代弁者という議員とは異なり、市長とは選挙で選ばれた市全体の意思表示である」と大きな間違いを犯している。憲法は二元代表制の中で議会が第一義的な市民の代表だと位置付けている。議会解散の手法を住民動員で直接民主制度の意図を狂信的な政策に使おうとしている。
 それに対する議会は、当事者として歴史的反省を加えて、市民の信頼を回復して、全会派一致して街頭に立ち、市民との連帯で議会改革を貫け。

●議員ももっと市民に情報発信を

 NPO法人代表の花井美紀氏:昨年の春、河村市長の登場を諸手を挙げて歓迎した。しかし、今、リコール署名が成立してもしなくても、今のような対立のままでは市民の幸福はない。なぜ市長は議会でビジョンを語らないのでしょうか。対立はエネルギーがぶつかりあって成果を生み出さなければ、意味がない。
 議会は急速に変わろうとしていることを実感します。それで市民はもっと議員を活用してほしい。議員ももっと市民に心を開いて情報を発信してほしい。


ホームページに戻る 視察報告メニュー