伊藤ひであきの市政報告

3月議会へE介護保険総点検から3つの提案

「公明チーム3000」による「介護総点検」の結果速報値から『調査結果のポイント』として、特に@施設と在宅、希望は同数、A事務量の軽減に強い要望、B保険料抑制へ公費負担増額を、Cやりがいはあるが低賃金の4点を挙げ、

 その対応策を提言として@特養など介護3施設を倍増、A24時間訪問介護を大幅拡充、B事務簡素化、認定の簡略化、C介護職の大幅な給与アップ、D保険料の公費負担を6割に

 とし、近々に発表される「新介護ゴールドプラン」に反映し、H24年に予定される介護保険法改正に生かしていくとしている。大いに期待するところであるが、これだけのことを具体化するには、当然、財源も明確にしなければならないはず。参院選まで150日というこの時点で、その財源に消費税増税を明記できるのかどうか。難しい判断が迫られているのではないだろうか。

 いずれにしても地方は現在H21年度からH23年度までの第4期介護保険事業計画中で、第5期(H24〜H26)を経て、H27年(団塊の世代が65歳に突入)の高齢者介護のあるべき姿を念頭に置きながら、急速度に高齢社会に向かうことになる。

 そうしたなかで「介護総点検」のアンケートから導き出されたデータからの議会質問については「議会質問参考資料」として約30項目が並んでいるので、あえて私の介護現場を歩いた実感から以下のような提案を考えています。

(1)3世帯同居を奨励する制度を
 本来、介護保険は何のために始まったか。老後の最大の不安要因である介護をその家庭だけに、ましてや配偶者や、息子の嫁に負担させるのでなく、地域で、社会全体で考え、支えあい、高齢者の真の自立を支援するための仕組みとして設けられたはずです。

 介護を受けたい場所は「入所系の介護施」(45.8%)と自宅(42.3%)と同率である。また自宅で介護を受けている人のうち、困っていることは、介護する家族の負担が大きい(身体的、精神的、経済的)(35.8%)が最も多い。本人や家族の具合が悪くなった時に一時入所できる施設がない(18.8%)、利用料が高い」(18.6%)が続いた。「介護施設への入所待ち」は11.2%だった。

 施設に入所すれば、介護保険で月8万円から9万円、食費やオムツ代など個人負担が2〜3万円の費用が要ります。「ありがたいことだ12、3万円の負担でおばあさんを面倒見てもらえる」と家族は言います。しかし、それは費用総額の1割であり、残り9割は介護保険で賄っている事が忘れられがち。月に80〜90万円、年にすれば一人のおばあさんに1000万円はかかっている事実がぼやけていないか。

 元気な孫の顔を見ながら、おばあさんやおじいさんが子守りをし、子供をしつけ、豊かな道徳心を醸成し、おじいさんやおばあさんが倒れたり、寝込んだら、家族みんなで介護し、看取っていく。勿論、そのための在宅介護をサポートするための多機能な事業行う体制の強化が必要であるが、何より「3世帯同居手当」を創設したらどうだろうか。その額は月10万円でもさきほどの施設介護の費用からみても高くないと考えます。「家族を大事にする公明党こそ、こういう制度を作るべきだという」長年の支持者の思いを提案します。

(2)介護職員に社会保険料免除と年金制度を
 厚生労働省は1/25日、09年4月に実施した介護報酬改定により、全国の介護職員の平均月収が08年から9058円増え、23万1366円になったと公表した。改定では介護事業者への報酬を3%引き上げて月2万円の賃上げにつなげることをめざしたが、半額にも届かない結果となった。

 昨年10月からは新政権も引き継いだ「介護職員処遇改善交付金」は、介護保険で支払われる総収入に対して交付率で加算される。しかし、この交付金は職種が限られていて生活指導員とか看護士、事務職員は対象外です。また交付金は2年半の時限措置であり、その後の補償がありません。

 私は社会保険料免除を提案します。これなら事業者の負担増もなく、ストレートに職員の手取り額アップにつながります。標準報酬月額20万円の職員で健康保険料、厚生年金保険料の個人負担は約2万5千円。これが給与アップにつながります。また地方議員の年金のように12年以上働けば年金が補償される制度が用意されれば、たとえ低賃金でも介護現場で頑張ろうということにならないだろうか。そのための消費税(福祉税)の増額はやむを得ないと考えます。

(3)地域で福祉を担う、地域密着福祉チームを
 私は豊橋市の中心部に近い所に住んでいる。豊橋を代表する路面電車の沿線沿いでもある。しかし、それだけに我が小学校区は豊橋市内52小学校区の中でもっとも高齢化率の高い地域である。(H21年調査で65歳以上1220人/4041人=30.2%、H12年の豊橋市18.3%、同全国21.8%)。

 それだけに高齢者だけで暮らす世帯が急速に増えている。かっては家族や親せきが高齢者の生活を支え、隣近所の住民も連帯し、生活困窮者には行政がかかわった。つまり、血縁と、地縁、行政の三者が高齢者を囲んで見守っていた。だから孤独死はまれだった。しかし、今日では「無縁社会」といわれるまでに、これらの機能は弱まっている。集合住宅が増え、戸建住宅も堅ろう化し、お互いに干渉を避ける。近所に救急車が止まっても窓越しに覗くだけ。

 こうした地域力の衰えを補って高齢世帯を回っているのは誰か。民生委員である。妻がこの地域で民生委員になって3年。223世帯を担当し、65歳以上の一人暮らし世帯32軒、75歳以上の2人世帯12軒を、社会福祉協議会からの「いきいき通信」をもって月2回訪問し、激励し、愚痴をきき、個人的な相談に乗り、時には買い物に、あるいは急を要するときは役所や病院に乗せて行く。近くに「地域包括支援センター」があり、一人一人のお年寄りの実態について話し合う。しかし、個人の力ではそれだけで限界である。報酬は10万4千円/年である。  私は、血縁と地縁に代わる組織として、民生委員を中心にして、地域のボランティアと地域包括支援センター(行政)の三者が一体となって地域福祉チームを重層に作り上げていくべきだと考える。このチームこそ家族・近所に代わる高齢社会の守り手である。


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