伊藤ひであきの市政報告

3月議会へB診療報酬改定、地域医療への影響

 2010年度の診療報酬改定案が2月12日、中央社会保険医療協議会から厚生労働相に答申され、新年度―この4月から実施されることになった。
 改定内容は医療の提供体制や患者の負担に直結する。地域医療がどのように変化するのか、市民に身近な医療がどう変化するのか大いに注目されるところです。
 今回の改定の特徴的なのは、深刻化した「医療崩壊」を食い止めるために、医療機関に支払われる診療報酬が10年ぶりにプラス改定され、その大半が入院治療に配分された事。また疲弊している病院勤務医の待遇改善が狙いですが、逆に救急入院料などで患者負担が増えることも明らかです。 以下、伺います。

(1)新年度からの診療報酬の改定で、市民にとって最も身近な医療はどのように変わるのか伺う。また診療明細の発行が無料で義務付けされたことは患者側にどのようなメリットがあるか

(2)地域医療の担い手であり、医師不足が指摘される救急や産科、小児科、外科の再建と、病院勤務医の負担軽減についてはどのような配慮がなされたのか伺う。

(3)社会問題化した妊婦のたらい回しや救急医療などの現場にどのような配慮がなされたのか伺う。

(4)我がまちの市民病院は国からのガイドラインに従って平成20年度から「豊橋市病院事業中期経営計画」と「豊橋市民病院改革プラン」に従って取組み中であるが、今回の診療報酬改定がどのような影響を与えるのか伺う。

<< 参考 >>

1.こうした問題は日頃懇意にしている「かかりつけ医」や公立病院の現場へ行き、今回の診療報酬改定の問題点を明確にすること。

2.診療報酬改定の内容

@重点課題は、なり手が少なく医師不足が指摘される救急や産科、小児科、外科の再建と、過重労働を強いられている病院勤務医の負担軽減だ。救急医療など、早期に手厚い治療が必要な「急性期入院医療」に増額分のうち4千億円を充てる。
A診療報酬は税と保険料、患者の自己負担で賄われる。診療報酬引き上げは、治療を受けた際に払う患者負担(報酬の1〜3割)も増える。
B重症患者を扱う2次救急医療機関に救急搬送された患者や乳幼児の入院費は増額。社会問題化した妊婦のたらい回しを防ぐため、救急搬送された妊産婦を受け入れた医療機関の入院費を大幅に上げる。
C切迫早産に伴う帝王切開など、リスクの高いお産の料金も上がる。新生児集中治療室(NICU)が満床になる問題への対応として、NICUの患者を受け入れた病床では別途1日5万4千円かかる。
D深刻な「外科離れ」対策には、約1800項目ある手術料の半数ほどを増額。難易度が高く、人手がいる手術の料金は3〜5割増となる。 例えば脳ドッグ脳動脈瘤がみつかった50代の男性が手術を受け、8日間入院した場合、難易度の高い手術料のアップに伴い、自己負担は約8万8千円から約9万2千円に増える。
E外来で2回目以降にかかる再診料は従来、診療所710円、病院600円だったが、病院への配分を厚くするため、診療所を下げ、病院を上げて690円に統一した。
F 薬害被害者ら患者団体が要望していた医療費の明細書は、4月から原則無料発行が義務づけられる。レセプト(診療報酬明細書)を電子請求している医療機関に限られるが、患者への医療費の透明化が進むと期待される。
G歯科の初診料は360円、再診料が20円上がる。一方、眼科や皮膚科などの検査項目は下がる。後期高齢者医療制度にかかわる報酬は廃止される。
H患者の窓口負担は、平均的な外来受診(3割負担)で月7.8円増える。

3.診療報酬改定の問題点
@、今回の改定で医師の治療行為に対する報酬分として5700億円増額、その7割以上の4千億円は早期に手厚い治療が必要な「急性期入院医療」に増額分のうち4千億円を充てるとした。 しかし、救急・参加・小児科・外科の充実を図るだけで日本の医療崩壊が解決するのか。例えば在宅医療やへき地医療などが次の崩壊となっていくのではないか。

A急性期入院の4000億円が3次救急とか、救命救急センターなどのほうにばかりいくのではないか危惧される。高速な高齢化で、高齢者の救急が増えています。同じ救急といっても、自宅で転倒して骨折して肺炎を合併している救急もある。それを支えているのは民間の2次救急です。大病院と日常救急を支える中小病院とのバランス、地域の救急体制の確立についてどうか。

B急性期入院医療の診療報酬が1割増額されて、そのまま医師・看護師の待遇改善に直結するとは限らない。病院の赤字補てんだけに回る可能性だってある。特に公立病院では医療職従事者の公務員給与改定が伴う。この対応をどうするか。


ホームページに戻る   議会メニュー