伊藤ひであきの市政報告

2010年3月 総務委員会のポイント(3/23 23:30)

1.「永住外国人への地方参政権付与法案に反対」の意見書の提出を求める請願について

(1)請願では「外国人に参政権を付与した場合、さまざまな危惧が生じる恐れがあります。例えば住民の少ない市町村で、外国人が大挙して住民投票すれば、市町村長や議員の選挙などで強い影響力を及ぼします」と述べられています。
 現在、議論されているのは選挙権の付与のみであり、被選挙権は付与しない。市町村長や議員になるのは日本国民に限られている。外国人が議会での採決でキャスティング・ボートを握る事は到底考えられないが、紹介議員はどう考えておられるか伺う。

(2)本請願は、「日本国憲法第15条第1項で参政権は国民固有の権利と定めている」こと「第93条第2項でも地方参政権はその自治体の住民が選挙すると定めている」とされていますが、国民主義原理や国民国家を前提とした国家の主権の当然の帰結として、外国人の狭義の参政権の否定は合憲としていますが、憲法第93条「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」として、地方自治体の選挙については「住民」による選挙としています。
 地方自治法第10条では「市町村の区域内に住所を有する者が住民」とされていることから、外国人、とりわけ定住外国人への法律による選挙権の付与は認められるという見解が有力になってきている。また海外に居住する日本人には衆参両院の比例区選挙での投票が認められながら、地方参政権は認められていない。すなわち「地方参政権は居住に基づいており、国政参政権は国籍によるということではないかと考えられます。どう考えられますか。

(3)また、その根拠として請願では平成7年2月28日の最高裁判所の「住民とは日本国民」を意味するとしていることをあげられています。
 しかしながら一方同判決の傍論では、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である」と述べています。

 つまりこの判例では、本論で憲法は外国人への参政権の付与を「要請」していないことを明らかにするとともに、傍論で「禁止」していないことを明言しています。結果として憲法はこの問題についての判断を立法府に委ねており、法律によって外国人を排除することも、付与することもできる、という「許容」説にたっており、外国人の選挙権は立法府による選挙法によって改正が可能であることを指摘しています。

 この傍論については紹介者はどのように考えられるか伺いたい。

(4)地方選挙権付与問題には、戦後に残された未解決の問題という重要な側面があると考えられます。約59万人に上る永住外国人のうち、九割近くを占める特別永住者のことです。

 特別永住者とは、朝鮮半島や台湾から戦前・戦中に日本に連行され、1952年のサンフランシスコ平和条約の発効によって日本国籍を失った人と、その子孫を対象にしています。日本に強制移住させられ、戦後は日本国籍を失いながらも日本に住み続け、地域社会に深く根差している人たちであり、生活実態は日本人と全く変わらない。そういう在日四世だけでも既に2万人を超えています。

 日本が過去の歴史にどう向き合うのか。二十一世紀の人権国家を目指すのかどうか。地方選挙権付与問題は、重要な試金石となることは間違いないと考えますが紹介議員はどう考えられるか伺いたい。


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