伊藤ひであきの視察報告

豊中市の「50-70喜んで」環境プロジェクト(11/4)

●2050年度までに70%削減を目指す

 大阪府北西部の北摂地域に位置し、明治以降は箕面有馬電気軌道(現阪急電鉄)の沿線開発とともに住民が増え、住宅都市として開け、文教都市として人口が急増した。高校野球発祥の地−豊中グランドの豊岡市である。2001年(平成13年)4月1日、「地方分権一括法」によって「特例市」に移行、近々の中核市への移行をめざしている。人口38万7千人、面積36.60平方km。

 その豊中市が取り組んでいる環境政策が「チャレンジ(マイナス)70プラン」。これは07年11月に、豊中市域の温室効果ガス排出量を削減するための取り組みなどを定めた「豊岡市地久温暖化防止地域計画」。目標は市民一人当たり温室効果ガス排出量を、1990年度比で、2050年度までに70%削減すること。

 日本では、京都議定書で2008年から2012年の間に二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを1990年レベルから6%削減することを約束し、地球温暖化対策の推進に関する法律(1998年制定)に基づく各種取組みが進められつつあります。しかし、まだまだ持続可能性と結びつけた目標については、現在、国において検討している段階です。(国の「脱温暖化2050プロジェクト」では60〜80%の削減が必要としている)

●知恵と工夫で様々なメニュー

 豊中市では、こうした動きに先行して、さまざまな温暖化防止の取り組み、様々な形のエコキャンペーンを実施している。 ・壁面緑化・屋上緑化は勿論、エコライフすごろくで子どもたちの啓蒙
・省エネ診断-市内の電気屋さん「とよなか省エネマイスター」が家庭を訪問し、省エネ診断をする。
・学校等における高熱水費削減分還元制度−今年度はモデル的に別名フィフティ・フィフティ事業を実施。これは6月〜2月までの高熱水費に関して、過去3年分の高熱水日野平均と比較し、減らした額の半額を、次年度学校に還元すること。
・エコポイントチケット「とよか」の発行−省エネ相談会や省エネ診断への参加者や省エネ性能の高い高いものに買い換えた方などに渡し、その「とよか」は市内の指定商店街などで100ポイント=100円に換算して使える。
・豊中市地久温暖化防止基金の設置−基金への積み立ては、当面はエコポイント発行の原資に充てていき、積み立てが進めば、地球温暖化防止計画に関する事業に使っていく。

●市民を巻き込んで着実な成果

 こうした活動を中心に、市民、事業者、NPO、行政が協働とパートナーシップで温室効果ガスの削減に向けて、周辺市町村などとも連携した推進体制を構築し、その進行管理はPDCAサイクルを回転させて目標に向けて着実に進んでいる。1990年度1,591,135t-CO2であったのが2007年1,471,324t-CO2とマイナス7.5%の成果を示している。

 9月22日、ニューヨークの国連本部での「国連気候変動サミット」の演説で、鳩山首相が温室効果ガスの中期目標として「2020年までに1990年比25%の削減をめざす」と公約し大きな反響を呼んだ。しかし、「絵に描いた餅にならないか」と危惧する声は強いし課題は山積している。しかし、豊中市の着実な取組みを学ぶと、それは決して不可能ではないように思えてならない。それは、智恵と工夫で市民を巻きん込んでいるからではないだろうか。


 視察に際し、豊中市環境部環境政策室地球環境チームの皆さんや議会事務局の皆さんに大変にお世話になりました。また公明の飯田武丸議長には丁寧に迎えていただきました。ありがとうございました。


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