伊藤ひであきの地方からの提言

09秋 「中核市は日本を変えれるか」松山より (11/5)

  ●地方分権社会を目指して

 11月5日、いで湯と城と文学のまち−松山市。愛媛県の県庁所在地のこのまちに全国41の中核市の市長、副市長、中核市市議会議員ら約800人の関係者が参加して「中核市サミット2009 in松山」が開催された。

 中核市とは人口30万人以上の都市および都市機能の集積度や圏域における拠点性が高い都市に対し、政令指定都市に準じた事務配分を行うべきとして19964月1日に中核市制度が発足した。我が豊橋市は99年4月にいわき市、長野市、高松市とともに全国21番目の中核市に移行している。

 それ以降、昼夜間人口比率や面積用件を廃止するなどして、今年4月1日には前橋市、大津市、尼崎市が加わり、現在の中核市は41市。中核市は住民にもっとも身近な基礎自治体として、与えられた権限を活かし住民の生活に密着した行政サービスを行う一方で、地域の拠点都市にふさわしい都市づくりに取り組むなど、真の地方分権社会を目指している。

 それだけに、今回のテーマは「結束・中核市〜中核市から日本を変える〜」

●新政権と地方主権

 中央集権から地方主権へ、新政権のマニフェストでは明確に記してあり、国と地方は対等の関係にあり、国と地方の協議機関も設置されることも明確にしている。その鍵を握るのは行政刷新会議であり、動向に注目したい。

 特に従来の”ひもつき補助金”を一括補助金にとされていてH23年度から実施されることを明らかにしている。実行されれば地方財政には革命的影響を受けるだろう。今までは補助事業が決まって、地方単独事業が後回しになって予算は編成されてきたが、今後は一括交付金として渡されるとなると、地方が独自色を出せるようになり、地方主権は大きく前進することになります。

 また、子供手当てを含め新政権が取り組もうとする新鋭策は全額国費でやられるのか、地方にも負担を求めるのか。それに子ども手当に伴い扶養控除や配偶者控除がなくなるとか。そうすると地方にとって重要な財源である住民税の扶養控除がどうなるのかが大きな注目点。

 新政権がアピールする本当の意味での地方主権を確立するために、税制の全体像を明確にすべきだ。(財団法人地方自治研究機構会長−石原信雄氏の基調講演「地方行政を取り巻く環境の変化と中核市の課題」より)

●地方主権の確立を宣言

 その後、@健全な財政運営に向けた取り組み、A住民主体のまちづくり、B地球温暖化対策への取組み、Cスポーツを通じたまちづくりの四つの分科会に分かれ、意見交換。

 分科会終了後、「今後も行財政改革を推進することで健全な財政運営に努め、国と地方の役割を通じて市民に最も身近な自治体として地域主権の確立をめざす」とする宣言を採択して、散会した。


 中核市サミットも今回で14回目、それまでの中核市連合が中核市市長会となったのは10年目となる平成17年「中核市サミットin豊橋」の開催が契機となった。
 そして、今回は政権交代後初のサミットであった。新政権の地方行政に対する全体像があいまいなまま開催されたからではあろうが、明確な政策提案や意見表明がなかったのが残念だった。また「中核市サミットは何のため」となれば「中核市市民のため」なのは明確であるが、中核市市長に重点が置かれ、中核市市議会議員は何の発言の機会もなく、オブザーバーの様な位置づけで、これでいいのかという疑問をもった。

 今年11月29日から、松山を舞台にしたスペシャルドラマ「坂の上の雲」の放映が始まる。中核市が新たなる歴史回転の扉を開く事ができるかどうか。澄み渡った松山城の雲がみている。


ホームページに戻る 視察報告メニュー