伊藤ひであきの市政報告

2009年7月 総務委員会のポイント

1.東京事務所について

(1)シティプロモーション−6月議会一般質問での答弁で出てきた言葉だが−人・物・資金・情報の流入を促進し地域活性化の実現に貢献する戦略がいわゆるシティプロモーション、その行動拠点が東京事務所。そうすると東京事務所の成否は戦略的・総合的なシティプロモーションを豊橋的に確立できるかどうかにかかる。
 「シティプロモーション」「シティプロモーション」と言葉をオウム返ししているだけでは、事は始まらない。その推進体制、その戦略プランについてどう考えるのか。

(1)-2東京事務所は、そこを行動拠点としたスタッフが中心という位置づけの感が歪めない。都市ブランドの確立と都市イメージの向上のための「シティプロモーション」は、市民・民間事業者・民間団体・大学・行政が一体・連携して推進しなければならない。その役割の主体は市民であり、その拠点は市役所ではないのか。

(2)自立的自治体のためには意欲的な財源確保、制度設計の的確な情報キャッチと東京事務所の必要性を並べ立てておられるが、例えば岡崎市の東京事務所がH15年3月に廃止になった理由は岡崎市選出の国会議員事務所がその役割を果たしているから必要がなくなったという話を聞いたことがあるが、今までの豊橋の行政展開の中で、東京事務所がなかったから的確な情報がキャッチできずに財源確保や制度設計が遅れたと意識された具体的な事例は、例えばどんな事か。

(2)-2例えば今回の第二次補正で女性特有のがん対策についても、いち早く「がん検診推進事業」の情報を具体化し「無料クーポン券」の発送が始まっている自治体がある。全国で一番早かったのは6月19日の岐阜県安八町、小規模自治体だけかと思えば長崎市・鳥取市などが臨時議会を開催して具体化に踏み出している。一概に比較できないが、やはりこうした動きは東京事務所があるとか、ないとかでなく、その自治体や首長の自主自立への政治的な意欲によるものが大きい。

 東京事務所を開設して、その目的を果たすためには結局”人材”である。この部分が肝要である。東京事務所を最大限に機能させる人材の育成についてどう考えるか。

(3)東京事務所の機能(シティプロモーションの行動拠点、自立的自治体への推進・サポート拠点、広域・産学サポート拠点)、あるいは情報収集・発信の観点、横の情報ネットワーク構築がなどを考えれば、当然に設置場所は日本都市センターとか全国都市会館などに集約されていくと思うが、「都市認知・都市イメージの向上」「都市の活性化」「戦略的広報戦略をからめた観光客誘致・企業誘致活動」などの総合的シティプロモーション戦略の観点よりは、内向きな東京事務所という位置づけになるが、どうか。

2.豊橋市芸術文化交流施設整備の実施方針、要求水準書について

 この豊橋市芸術文化交流施設は、仮称・総合文化学習センターの第1次整備として行われる予定になっていて、舞台芸術専門のホールで、2012年(H24)4月オープンを予定していた。予定された総事業費79億円。

 昨年8月、建設後すぐに市に所有権を移すBTO方式によるPFI事業で進める方針を打ち出し、実施方針などを公表。その中で、今年1月に入札公告を行い、5月に入札、7月に落札者を決定し、9月にかけて契約を結ぶスケジュールを明らかにしていた。
 そして、市長選挙があり「見直し」を公約した佐原市長が誕生し、「見直しのための時間がほしい」「見直しの視点として中心市街地活性化(賑わい創出)」などを挙げていた。
 そして3月議会で明らかになったのは、これまで優れた鑑賞性と興行性の両立を条件に、1階から3階までぶち抜き、総客席数800席(1階600席、2階200席)の急傾斜型を想定していたが、舞台と客席をより近づけるため、鑑賞性に軸足を移し、コンパクト化して、客席数を減らす方向で見直すとされてきた。そして、今回の修正案である。

 2001年以来、市庁内に「調査検討委員会」が設けられ、検討委員会が3年もの歳月を重ねて基本構想をまとめきた経緯があって、更には、第一次計画として「芸術文化交流施設」を先行させることになり、議会にもその都度報告があり、昨年8月23日には実施方針、要求水準書が発表になった。そして、ほぼ一年どのようなチェンジが芸術文化交流施設においてなされるのかが注目されてきた。

(1)主ホールエリアでは「より良質な観賞環境の実現とにぎわい空間を創出するために修正した」とされるが、当初から「優れた舞台芸術を鑑賞・上演できる空間の提供」「市街地活性化に大きく貢献する施設構成を図る」とされてきたわけで、主ホールについても「演ずるものの生の声が客席の一番奥まで届き、表情や衣装がはっきりみえる演劇を主体としたホール」という方針があってすすめてきたはずである。

 また、「にぎわい空間を創出する」としてアートスペースは定員最大200席以上とされてきたものを「定員最大250席程度」とし、専用のフルコンサートピアノを整備し、音楽練習室を1室増やして2室に、バンド練習室を同じく2室を3室にした。さらに緑あふれる憩いのコミュニティ空間、全体のデザイン性にも配慮するとされている。

 どう考えても、実施方針・要求水準に従って、むしろ、このPFI事業に参加しようとする民間事業者の意欲的な創意・工夫を最大限に発揮させれば考えうる内容ではなかったのかと考えます。結局、小規模な見直しになったことを議会との関係からどのように考え、かつ一年、開館が遅れることの政治的意味、予定されていた国の「暮らし・にぎわい再生事業補助金」との関係などをどのように考えているのか。


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