伊藤ひであきの視察報告

ロボットと出会うまち―福岡(2/4)

●福岡をロボットと出会える街に

 2月4日、九州視察二日目。冬の陽に映えるシーサイドももち海浜公園を望み、ヤフードームと福岡タワーの中間にある西日本テレビ放送会館「バヴェリア」の2階にあるのが「ロボスクウェア」。

 ここでは144体のロボットが様々に用意されていて、定期的にロボットのダンスなどの実演ショウなどが行われ、年間17万人の来場者が目を輝かせ、異次元の夢の世界の様相・・。

 一口にロボットというが、ロボットとは何か。ロボットには3条件があるという。センサ(人の目、鼻、皮膚など)、知能・制御(人の脳)、駆動系(人の手、足、指、首、関節など)の3条件を満たす知能化された機械システムを経済産業省の「ロボット政策研究会」では定義しているという。

 福岡市がロボットに取り組むことになったのは、2002年6月の「ロボカップ2002福岡・釜山大会」がヤフードームで行われ、12万人の来場者が詰めかけたことが大きな契機となったという。
 大会後、ヤフードームに近いこの放送会館に「ロボスクエア」がオープンし、「次世代ロボット研究会」が設立され、2003年6月には福岡県、福岡市、北九州市により「ロボット産業振興会議」が設立。11月には日本初のロボットが公道実験を実施できる「ロボット実証実験特区」が認定された。このようにして「ロボットに出会うまち・福岡」の条件と環境が整備されてきて、今日を迎えている。

●ロボット産業の課題と展望

 日本のロボット技術水準は世界のトップクラスにあり、広範な分野において国内企業に様々なノウハウの蓄積があり、この分野は幅広い技術の統合システムであり、ロボット関連産業は6000〜7000億円の市場で大きな波及効果をもたらすことは予測される。

 また外部環境としては少子・高齢化による労働代替えとしての期待が高まっているし、内部環境としては福岡市は第3次産業に特化した産業構造を有し、ロボットベンチャー企業や理工系の大学や多数の研究教育機関が存在しているなどの条件もそろっており、ロボットRTが将来にわたって都市活力を維持・発展させ、市民生活の向上に寄与するためにもロボット関連産業の振興を、福岡市の産業政策の重要な柱に位置付けている。

 何よりも、東京より遠く離れた九州福岡で、夢と一緒に「ロボット」を掲げて取り組もうとする九州人の気概というか、ロボスクエアは、その夢に向けての第一歩であり、将来、福岡がロボットのシリコン・バレーとなる日が来るかもしれない。

 それにしても、音楽に合わせて踊り、ステップを踏み、回転するロボットを見ていると、だんだんに親しみがでてきて、ほほえましいどころか、心が通じ合ったような錯覚に陥るのはロボットのロボットたる所以(ゆえん)であろうか。


 視察に際し、福岡市経済振興局産業政策部の辻主査や平川係長には大変にお世話になりました。ありがとうございました。


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