伊藤ひであきの視察報告

上越市のはしご状(ラダー型)の道路整備(11/20)

●上越市の生命線−道路整備

 越後の政治・経済・文化の中心地だった高田市と交通の要衝として臨海工業地帯として栄えてきた直江津市が合併して上越市となったのは昭和46年、そして平成17年1月に周辺14市町村が合併し、東京都のおよそ半分という広大な面積972ku、人口21万人の新しい上越市が誕生している。
 この上越市、「副市長制度」「ISO取得」「地域自治区」などで先進的な「自治体行政」に取組み、全国に情報発信してきた。

 この上越市の都市計画道路は、広域交通を担う主要幹線街路として東西に直江津バイパス、南北に上新バイパスがある。また都市計画の骨格をなす都市計画幹線道路が南北、東西にあり幹線道路の配置形状がはしご状でラダー型と呼ばれる道路網を形成している。

 そして、これらの道路ネットワークの向こうには、日本海側の重要港湾−直江津港が控えている。中国、韓国の主要港を結ぶコンテナ航路などの東アジア物流拠点だけでなく、特に最近ではLNG受入基地、中部電力や東北電力のLNG火力発電所の立地などが計画され、エネルギー港湾としての発展が期待されているだけに、道路網整備は上越地域の生命線である。
 また、首都圏直近の日本海への最短ルート、日本海国土軸の中央部の連携のためにも、日本海国際ゲートウェイの機能強化道路、上信越道等の代替機能強化のためにもその整備効果は無限である。

●道路戦略は霧の中へ

 しかしながら、4年前の中越地震、昨年の中越沖地震の災害復旧優先という動かしがたい事実、そして道路特定財源の一般財源化の動きの中で整備・計画中の都市計画道路黒井藤野新田線や上越魚沼地域振興快速道路をはじめ幹線道路がどう展開されるのかは、まったく霧の中である。

 また、この地域は北海道や東北、北陸では当然の除雪費が道路予算に占める割合は多い。上越市でもH17年度の豪雪では21.57億円、H18年度の小雪暖冬でも5.77億円、H19年度の平年並でも12.04億円を要し、一晩の除雪費用、それも市道だけで5700万円が雪と共に消えていくという課題も抱えている。

 合併によって誕生した広大な新上越市。当然であるが各地域を結ぶ道路網は地域の一体化と活性化に不可欠であり、道路は果てしない可能性を秘めている。しかるに、その道路予算が予測がつかない状況に追い込まれたときその代替策は見当たらない。

 それはそのままこの地域の産業戦略にも大きな影を落とす。「道路」というありふれたキーワードは、「整備・建設」とセットであることを、今更ながら痛感させられた。


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