伊藤ひであきの視察報告

新潟市の交通戦略・オムニバスタウン計画(11/19)

●バスを生かし、活力を

 平成17年4月に近隣の13市町村と合併し、平成19年4月には本州日本海側初の政令指定都市へ移行した新潟市。人口813千人、面積726ku。街づくりの基本理念は「田園とみなとまちが 恵みあい、共に育つまち」、そして「人々の英知が集う、日本海交流開港都市」を目指している。

 この新潟市、政令市効果を市民に実感させようと、いち早く策定されたのが「にいがた交通戦略プラン」。そして、その計画をさらに戦略化したのが「新潟市オムニバスタウン計画」。

 新潟市では市民生活を支える公共交通としてはJR路線とバスが機能しているが、ここでもマイカーの急速な普及により、特にバス離れや、それに伴うバス路線の廃止・減便を招いている。利用者は昭和45年頃のピーク時の1/4以下となり、この4年間でも約1割(380万人)減少と、その落ち込みが顕著になっている。
さらに、少子高齢化社会を迎え、市民のモビリティを維持・確保していくためには、バスが中心的な役割を担うことが不可欠であることから「オムニバスタウン計画」が策定された。

 オムニバス(元々の意味はラテン語で、乗合馬車や乗合自動車のこと、また、そこに沢山の人々が乗るという意味があり、英語のバスの語源にもなった)タウンとは人と環境に優しいバスを活かし、賑わいと活力にあふれるまちづくりを推進する取組みである。

●基幹バス「リュウとリンク」

 平成19年度から動き出した「新潟市オムニバスタウン計画」。その目玉は、サービスレベルの高い「にいがた基幹バス−リュウとリンク」の運行である。これはJR新潟駅前〜県庁間を中心に主要拠点間を日型に柳の都を結ぶという意味であり、デザインには日本海の夕日を背景に飛び立つ鶴のデザインが採用され、超低床車両を投入している。
 もう一つはICカードの導入である。これにより、乗降時間の短縮による運行定時制・速達性の向上や環境負荷の軽減にも寄与している。更に割引サービスや他機関とのタイアップなど、市民生活に便利なカードの導入に向けて検討を進めている。

 全国どこの地方にもあるバス離れ、それでも市民の足として不可欠のバスの活性化。丁寧な説明が続いたが、約350万人のバス利用者の減少に歯止めがかかるかどうか、その決め手は、ここ新潟でも見出せなかった。


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