伊藤ひであきの視察報告

新選組のふるさと−日野市のごみ改革(8/21)

 8月21日(木)、蒸せるような夏の陽射しの中で、同僚の宮沢佐知子議員と共にこんもりとした緑に囲まれた日野市役所を訪問し、「日野市のごみ改革」を学びました。
 「水と緑の文化都市」−日野市は人口17.5万人、面積27.53ku。江戸時代甲州街道の宿場だった日野。幕末、その名主佐藤彦五郎が開いた剣術道場に集まった若者たち-近藤勇、土方歳三、沖田総司らは後に幕末の動乱に立ち向かった。日野市は新選組のふるさとでもある。

●ワースト1を前面に出して

 この日野市が10年前は三多摩地区30市町村の中で、不燃ごみは市民一人当たり、一日の排出量は193.71gでワースト1。リサイクル率も13.8%でワースト1という実態。都下25市1町で構成する二ツ塚広域処場への配分搬入量が超過し、搬入停止、追徴金の発生が危惧される最悪の事態の中で日野市のごみ改革は始まった。

 そのための方策は
@収集方式の見直し:従来のいつでも、分別せずになんでも出せるダストボックス収集方式から原則個別収集方式に切り替えた。
A有料指定袋制:H12/3月議会での有料化条例案が可決により、1世帯(4人)あたり月500円の負担÷12回(可燃・不燃)=約40円(中袋20g)を市民に求めた。
B改革導入の手法:ワースト1というマイナスイメージを前面に打ち出して、延べ600回以上のごみ説明会を実施(H11/5からH12/9まで)。

 また混乱なく新方式に移行するために
・有料化の位置づけや、指定袋の流通方法(市内185店舗で取り扱い)、収納方法、管理体制の確立。
・短期間(4日間)でのダストボックスの撤去。
・戸別収集化のために収集業者と時間をかけての打ち合わせ。
・排出指導、不法投棄、事業系ごみの把握、ごみの分別相談等のためにごみパトロール隊を4班8名体制で編成。
・ごみ減量実施対策本部の設置・市長公室が事務局になって全庁体制の確立。
・生活保護受給世帯や児童扶養手当受給世帯などへの減免措置や公園などを清掃する際のボランティア袋の無料配布などにもキメ細かく対応した。

●行政と住民の協働が画期的な成果に

 これらの取組みにより改革前1年間(H11/10〜H12/9)のごみ量は可燃・不燃併せて54,916dが改革後1年間(H12/10〜H13/9)のごみ量は26,828dと50%の減量という画期的な成果に結びついた。

 かくしてH11年度には収集家庭ごみは56,044dであったのがH12年10月からのごみ改革を経て、年々効果が現れH18年度には42,109dと25%の減量が定常化。市民一人当たりのごみ量も1,042gから809g。リサイクル率も13.8%から36.3%へと「環境にやさしいまち『ひの』」をめざした取組みの成果は着実に実を結んだ。

 その陰にあるのは、自らの家庭ごみを毎日のように計量しているという、ごみ行政に熱心な市長を先頭に、環境基本計画を全国に類を見ない住民の直接請求で成立させたという環境意識の高い市民の積極的な後押しであり、パートナーシップが遺憾なく発揮されたが故であるとごみゼロ推進課は強調する。

 日野市のごみ行政は「次の時代に美しいふるさとを渡そう」という市民と行政のコラボレイトによってなされた、参画と協働のまちづくりそのものである。それはあたかも無名の若者たちが「誠」の旗の下で一丸となって歴史を刻んだように。


 視察に際し、日野市環境共生部ごみゼロ推進課原 正明課長をはじめ議会事務局の皆さんに大変にお世話になりました。ありがとうございました。


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