伊藤ひであきの視察報告

視察報告 議会改革に挑む福岡市議会(8/4)

 8月4日、灼熱の日本列島を新幹線で一路、西へ。豊橋市議会議会運営委員会のメンバーともに降り立ったのは博多。政令指定都市−福岡市はいうまでもなく県都、いや九州の州都、人口143万人、340.96ku。一般会計6,637億円、全会計1兆9,112億円、財政力指数0.809、公債費比率24.1%。市議会議員は63人、公明党市議団は12人で第二党。

 国の地方分権一括法、地方分権改革推進法、そして三位一体改革という流れの中で、地方議会が果たすべき役割が飛躍的に高まる中で、責任ある政策選択、意思決定、闊達な議会論議の場へ活性化させていこうと3年前(平成17年)に「議会活性化推進会議」が発足している。市民に開かれ透明性の高い議会運営の確立のために広範な協議事項に精力的に取組み議会改革に挑んでいる。

●活発な「議会活性化推進会議」

 この「議会活性化推進会議」は議会の諸課題について広範かつ詳細な検討を行う任意の機関として設置されていて、その協議結果については議長に報告の上、代表者会議や議会運営委員会の了承を経て、その都度、市民に公開し、市民の付託にこたえようと迅速・円滑な実施を図っている。

 協議事項は議員研修会の実施や、議会のIT化の推進、外郭団体に対する議会の調査権の強化など設置当初からの協議事項に、常任委員会・特別委員会・協議会の一体的な見直しなどその都度、追加し26項目に及ぶ。そのうち18項目について結論を得て、一旦その活動を終えているが、昨年春の統一選の改選を経て、「第二次議会活性化推進会議」が設置され、継続されている。

 その中には、議員への情報提供システムを設ける「議会情報BOX」の開設、あるいは従来の紙媒体に代わる電子データでの提供、常任委員会の所管事務調査対象に出資比率50%以上の団体に調査実施、本会議のモニター・インターネット放映、本会議・常任委員会・特別委員会傍聴者に報告説明資料の配布、市議会議員選挙での選挙公報の実施などが具体化されている。
 また第二次推進会議でも、「議会のモニター・インターネット放映の拡大」、「議会出席費用弁償の廃止を含めた見直し」などにも踏み込んでいる。また全国で注目を集める「議会基本条例(仮称)の制定についても協議が始まっている。

 この「活性化推進会議」が設置された背景には「ある会派からの議会制度改革の推進に関する申し入れが契機となって検討組織の設置について協議が行われ発足した」と視察資料に明記してあり、視察研修後に案内いただいた市議会議場で、それとなく担当の議会事務局職員に質したが「その会派は公明党の皆さんです」と明快に答えていただいた。
 ネットワーク政党公明党が全国で展開した議会改革のうねりの流れの中で、公明党福岡市議団の皆様がその先導的役割を果たしておられる事に非常に嬉しく思った。

●活発な議員提案の政策的条例

 福岡市議会では議員提案による政策的条例がこの10年間でも13条例に及ぶ。うち可決されたものは10、修正可決は1。その中には「人に優しく安全で快適なまち福岡をつくる条例」や「福岡市ピンクちらし等の根絶に関する条例」など市民生活に密着した条例が際立つ。

 また、平成18年6月議会の「福岡市市行政に係る重要な計画の議決等に関する条例」がある。地方自治法では、議会の議決を要件に定めているのは基本構想のみ。同市では、基本構想の具体策となる基本計画の議決を条例で定めた上で、実施計画や各行政分野にまたがる計画の報告を義務付けた。報告対象を市情報公開条例によりパブリックコメントを実施する計画(現在、48本)まで拡大し、議会のチェック機能を高めているのが特徴。さらに、計画の策定や変更を行うには、全国でも初めて立案過程における報告を義務付けるなど、「全国的にも踏み込んだ内容」となっている。

 今春の3月議会では「福岡市留守家庭子ども会事業の実施に関する条例の一部を改正する条例」は留守家庭子ども会事業に関して、基本利用料の有料化を維持しつつ、従来の3年生までとなっている対象学年を6年生までに拡大するとともに、利用時間を従来の18時までを19時までに延長するもので、基本利用料を無料化し、利用時間を延長する市長案への対案として提出されたもので、議会と市長との緊張ある関係の具体化であり注目される条例制定経過でもある。


 視察に際し、調査法制課長百武隆典氏をはじめ福岡市議会事務局の皆様に大変にお世話になりました。ありがとうございました。


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