●基地の街からの脱却
都心から西へ約40`、中央線立川駅で青梅線に乗り換え福生駅で降りると福生市。多摩川の東側の平坦地に横たわる面積10.24ku、人口61,000人のコンパクトなまち。一般会計22,583百万円、議会定数は20人、議会費は285百万円で構成比1.3%。
昭和初期まで養蚕を中心とした農村地帯だったが、市の東北部に日本陸軍航空審査部と整備学校が設置され、軍都として発展。終戦と同時に市域の32%に当たる3.32kuを占める横田基地となった。そして、基地の町からの脱却をめざし昭和45年7月に市制施行。「やすらぎ いきいき 輝く街 福生」をめざす。
●新庁舎1階に総合窓口
福生駅から歩いて5分ほど、そびえるのは建設中の福生市役所。完成を待って平成20年度に総合窓口を開設するという。その業務フローは以下のとおり。
1.住民票・印鑑証明・税証明の請求
@訪れた市民にフロアマネージャー(市役所退職者の再任制度利用)が総合案内で用件や状況を聞き、A申請書自動作成システムカウンターに来ていただく。B作成システム担当者が受付け、身分証明書を提示してもらって、その場で証明書を発行し、手数料を受領する仕組み。
2.住民票・印鑑証明・税証明の請求(申請書発行システムで発行できない場合)・戸籍証明の請求
本人及び同一世帯員の住民票の提示がない場合は、@総合案内で申請書等を記入してもらったうえで、A受付窓口カウンターへ。B受付窓口担当者が申請書を審査、本人確認を行い、番号札を渡す。C証明書発行者が証明書を作成し、D受付窓口担当者が交付し、その場で手数料を受領する。
3.外国人登録に関する証明・届出
@フロアマネージャーが用件を聞き取り、A外国人登録窓口へ案内。B関係各課がある場合はフロアーマネージャーが届出窓口に案内し、C外国人登録担当者が各課に連絡する。
4.戸籍届出・住基届出・印鑑登録・保養施設・仮ナンバーなど
@フロアーマネージャーが用件を聞き取り、A総合案内で届出証を記入してもらったうえで、B受付窓口カウンターへ来ていただく。C受付窓口担当者が本人確認、届出書などの内容を審査し、番号札を渡す。D書類は処理担当者に渡す。処理後、関係課へ異動票を手渡してから、E届出窓口で番号を呼び、該当者に来ていただき、処理内容の確認のためサインをもらう。F届出カウンターで「手続きのご案内」を打ち出し、関係課職員が手続きを行う
●サービスは高く、負担は少なく
要は、市民に担当課へ足を運ばせるのでなく、カウンターの向こうには、保険年金課、総合窓口課、外国人登録担当者などが控えていて、それに該当する担当課職員がそれぞれの手続きを同じ届出窓口で行い、市民がカウンターに座ってから帰るまでの時間短縮のための仕組みづくりを行っている。
そのためにはカウンターサインに「課名」を表示し、間仕切りパネルに「取り扱い業務」を表示し、案内を容易にするために色と番号にて区分する工夫も考えられている。また、市民に渡す案内票が総合窓口で作成できないか、あるいは入力処理が終わらなくてもできることがあるかどうか、何よりもフロアーマネージャーの育成は急務であるなど試行錯誤は続く。
また、福生市役所は月・火・木・金曜日は午前8時半から午後5時15分までであるが、水曜日は午前8時半から午後8時まで、土曜日は午前8時半から午後5時15分までと夜間、休日も開庁している。
昨年末、民間研究機関が公表した中で、福生市は「住民1人当たりの行政コストと負債の関係」の分析結果として、高コスト低負担型と位置づけられている。すなわち、福生市民にとって、サービスは高く、負担は少ないという分析結果となっている。
しかし、それを可能にしているのは福生市の財政の特殊な状況、つまり「基地交付金」の存在である。国有提供施設等所在市町村助成交付金だけでも平成19年度1,407百万円ある。この特殊事情がいつまでも続くとは限らない。米軍再編の動き、横田基地の軍民共用化の動きなど、予断は許さない。
「触れ合いと個性あふれる福を生む街」へ福生市の「総合窓口」が果たす役割は大きいことだけは確かである。市民と市が触れ合う最大の場が「総合窓口」であるからである。第二期工事が完成して、窓口カウンターがどのように機能するのか楽しみである。
視察に際し、福生市市民部石川部長や島田課長、議会事務局藤田次長に大変にお世話になりました。ありがとうございました。