伊藤ひであきの視察報告

視察報告 花巻・埼玉・千葉の産業施策 07.11.02

●花巻と仙台の産業振興支援

 10月31日(水)から二泊三日で環境経済委員会の視察。第一日は東京を経由し岩手県花巻市へ着いたのは午後1時過ぎ。市役所で「産業振興支援について」レクチャーをいただいた。人口10万5千人。市域面積908.3kuのうち62%は山林原野であり、財政力指数は0.42、有効求人倍率0.6〜0.7という厳しい産業環境のなかで、35社の企業誘致をしながら内発型振興策を展開してきた。

 そのポイントは「花巻市起業化支援センター」。これは入居型インキュベート施設であり、研究室8室と貸工場13棟を5年を目途にレンタルできる。そして、それらベンチャーに選任のコーディネータを配置し、地域企業支援体制をとっているのが特徴的。

 夕方、仙台市に戻り、仙台駅近くの「仙台市情報・産業プラザ」を視察。政令指定都市らしい地域の産業と情報化の支援・交流拠点であった。
 特に「技術的課題の解決はお任せください」と御用聞き方企業訪問を始め、大学等との連携により、地域企業が抱える技術的な課題の解決を支援しているのが東北大学工学部の堀切川教授と青木准教授の二人が中心的な役割を果たしている。ともすれば産学の地域連携フェローには産の壁、学の壁があるが、それらをみごとに乗り切って取り組んでいるところが特徴的。

●彩の国資源循環工場

 11月1日(木)は仙台から大宮、熊谷を経由し埼玉県寄居町まで移動。「彩の国資源循環工場」を視察。
 この施設は民間リサイクル施設、PFIサーマルリサイクル施設、県営最終処分場、県と民間の研究施設で構成する、公共関与による全国初めての総合的「資源循環型モデル施設」である。東京ドームが20個分という広大な97.7haに整然と管理型埋立地や、9社の資源循環工場が並び、埋立済み地には緑地公園が整備されていて壮観である。

 資源循環工場の中でも、し尿汚泥や食品廃棄物から、発酵有機性肥料を製造している企業や、廃プラや生ごみから固形燃料を作っている会社を視察したが、知力回復の肥料として、あるいは石炭の代用品としてニーズが高まっている再資源化商品の動向を知ることができた。

 夕方、千葉まで移動。

●千葉の「しょいかーご」

 最終日の11月2日(金)、午前中に千葉市のJA千葉みらいが経営する農産物直売所「しょいかーご」を視察。平成17年12月に総事業費9億円かけてオープンし、昨年一年間で7.7億円売り上げ、今年は10.5億の売上げに向かっている農産物直売所である。

 「安全・安心・新鮮」な農産物や加工品等を消費者に直接供給すると同時に、農を通じての生産者と消費者の交流の場作り、さらに高齢者・女性に受け入れやすい農業経営の普及・推進を図り地域農業の振興と発展を目指している。

 「パートさんには研修だけでなく、食育ソムリエの資格取得にも挑戦してもらっている。また店長はJA内で手を挙げてもらって、パートさんにとって魅力のある人物になってもらった。チラシは入れないが、千葉市の広報や新聞、テレビに発信してもらえるようなニュースを用意している。チラシでも裏側には「野菜ぬりえ」を用意し、それを子どもさんに自由に塗ってもらって受付、一週間後に展示する。それだけで3回は店に来てもらえる」など担当のJA千葉みらい直販事業部はアイデア一杯でやる気である。

 また、750名の出荷登録者は自らが生産・製造した農産物・加工品を用意し、出荷企画・数量・価格は自由。8割が100万円未満の販売額であるが、500万円以上売上げる出荷者も3%近くいる。夕方午後6時から7時までに引き取る仕組み。販売委託手数料は15%。売上げ7億円が損益分岐点だという。

 昔、採れたての農作物はおばあちゃんの大きな背負い篭に収まって都会へと運ばれていた。そんな背負い篭が、農産物直売所「しょいかーご」になったという。平日なのに朝9時半の開店時から買い物客でにぎわい、活気があった。


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