伊藤ひであきの視察報告

視察報告 新潟の食育推進 07.08.22

 新潟市ー信濃川・阿賀野川の二大河川に育まれ、豊かな恵みの新潟平野に囲まれ、港とともに日本海側の交通の要衝として歩み続け、平成17年4月に近隣の13市町村と合併し、81万人の人口を擁する日本海側最大の県都となった。また、世界に向けた環日本海の中枢拠点都市して、高速交通網と特定重要港湾−新潟港を中心にアジア航路が国際化の窓を開いている。街づくりの基本理念は「田園とみなとまちが 恵みあい、共に育つまち」、目指す街の姿は「人々の英知が集う、日本海交流開港都市」。

●「食育推進条例」

 ”ゆたかな海の幸と田畑のみのり”から食と花の政令都市を目指していることから、食育の推進に関する取組みを総合的かつ計画的に進める立場から「新潟市食育推進会議」が置かれ、制定されているのが「新潟市食育推進条例」(H19.4施行)。

 その背景には国の食育基本法において、市町村は食育推進計画を作成するように勤めなければならないとされており、市の責務および市民等の役割を明らかにして、全市民的運動として取り組むために制定されている。
 その第1条では「(中略)食育の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、市民一人ひとりが生涯にわたって健全な心と身体を培い、豊かな人間性を育むことができるよう施策を総合的かつ計画的に推進し、もって生き生きと暮らせる活力ある住みよいまち新潟の実現に寄与することを目的とする」と明確である。

 「食育推進条例」まで作って取り組んでいる自治体は稀であるが、新潟市の場合はさらに「食育・健康づくりフォーラム」と「食育の日」の普及啓発活動に力を入れている。

●「食育フォーラム」「食育の日」

 昨年7月に「にいがた食育フォーラム’06」として開催。国の食育推進会議委員でもある服部幸應医学博士を「新潟市食と花の総合アドバイザー」として迎え、その服部氏の基調講演やパネルデスカッションで市民に食育についての理解を深めてもらう時と場を提供している。
 また、「食育の日」を設けているのもユニーク。昨年度は市役所の食堂やカフェテラス等において、伝統食材や地場産物を使っての食育メニューを年4回行っている。6月はきりあえ、10月は鮭、1月は新野菜ブチヴェール・里芋、3月は春の食材”春さがし”など。さらに今年度は6月に市内スーパーマーケット5社61店舗の協力を得て「食育の日」の普及活動を行い、学校や保育園では食育メニューの提供や市民にも公共施設で「にいはた自慢でシャキッと夏味」キャンペーンを行っている。

●「食育推進計画」、その推進体制と予算

 こうした取組みの背景には女性就業者は43,7%と政令市の第3位、高齢者の割合も20.5%で政令市の第3位と高率であること。朝食欠食率が27.3%(国27.4%)、毎日外食を利用する人26.8%(国18.1%)、肥満の割合26,8%(国18.1%)、やせの割合23.4%(国21.4%)、そして生鮮野菜購入費225kg、食料自給率60%、何よりも農業産出額695億円と最高位を示し、市民が抱く新潟市のイメージ調査では「食が美味しいまち」が第1位を占めている。

 こうした具体的な取組みから@市民一人ひとりの健全な食生活の実践A健やかな子どもの成長B食料の生産・消費による地域の活性化を柱に「新潟市食育推進計画」を策定中であり、「米を主食とし、新鮮で安心安全な野菜、果実、魚など多様な副食を組み合わせた栄養バランスのよい食事の実践」を主眼とした施策の展開を図ろうとしている。

 その推進のための「食育・健康づくり推進本部」が置かれ、食育・健康づくり推進課が設置され、前年から食育・健康づくり推進室として、企画財政局のなかに置かれている。
 食育推進事業費として10,000千円、モデル事業としての地域コミュニティ連携事業(900千円)や食品衛生対策事業(200千円)などが予算化されている。

 視察に際し、新潟市議会事務局や食育・健康づくり推進課の皆様に大変にお世話になりました。ありがとうごいざいました。


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