伊藤ひであきの視察報告

視察報告 高松の行政改革 06.10.12

 秋の陽を浴びて瀬戸大橋を渡ると四国の玄関口ー高松。聳え立つ高層ビル、整備された車歩道は昨年完成したサンポート高松を始め四国の州都を展望した中核拠点都市ー「クレーター高松」の風格さえ感じられる。
 05〜06年に近隣6町と合併し、人口は8200人増えて人口416千人、面積も2倍になって375ku、都市形態としては商業観光都市である。

●新高松市行財政改革計画

 国と地方の借金が1000兆円超というなかで、全国の自治体は−厳しい行財政環境、地方分権の推進、市町合併への対応、少子高齢社会の到来、高度情報化の進展、市民の市政への参画意識の高まり等の共通課題をつきつけられている。

 高松市でも状況は極めて厳しく、このままでは危機的状況に追い込まれることも想定されることから、新高松市行財政改革計画を平成15年7月に策定し、平成15年度から17年度の3年間を短期集中改革期間と位置づけとりくんできたが、この間に近隣6町との合併もあり、今年度も延長適用している。
 よって、来年度からの改革計画を総務省が全国自治体に要請している「集中改革プラン」として位置づけ策定していく考え方である。

 市民との協働による行政運営、市民ニーズに応える行政サービスの提供、効率的な行政運営システムの確立をめざして、すべての事務事業を徹底的に見直し、職員の意識改革と市民・企業との協働により推進しようと行政改革推進本部(本部長は市長)の中心に279項目にわたって取り組んできた。

 この3年間で計画策定段階での節減見込みは46.9億円をめざしたが、実績としては119億円と2.5倍の結果である。これは公共工事コスト縮減、補助金見直しによる新規取組みによる効果が大きかったという。

●外郭団体の運営等指導基準

 高松市の行財政改革で目に付くのは「高松市外郭団体の運営等指導基準」である。これは本来的に市が直接事業を担当するよりも、より効率的・効果的な公共サービスの提供が可能となるよう設立されたものである。

 しかしながら、設立目的が希薄化している傾向にないか、抜本的に見直すことが必要である。さらに、外郭団体は本来独立した経営主体であることから、自らが積極的に改革・改善に取組み、自主的・自立的な経営基盤を確立するよう努めるべきであり、「指定管理者制度」に適切に対応できる整備の必要性にも迫られていた。

 そこでプロジェクトチームを作り、公共施設管理運営基準の策定、稼動状況・管理運営コストの公表、維持管理にかかる契約情報の共有化、維持管理の一元化の検討などがなされた。
 こうして、「高松市外郭団体の運営指導基準」ができあがった。そのなかでは外郭団体を所管する部局長の責任を明確にし、職員数、役員数、給与等の適正化や組織の簡素合理化について突っ込んだ中身となっている。また、経営評価及び情報公開システムの推進についても基準を設けている。
 取組みの結果、高松観光協会とコンベンションビューローの統合がなされ、高松市駐車場公社及びサンポート財団については解散した。

●次期行財政改革計画

 近隣6町との合併もあり、新しい高松市としての取組みや合併により新たな取組み課題も明確にする必要もあり、取り組み課題の絞込みにより戦略的・重点的な数値目標を明確にした計画作りに取り組み中である。
 また平成13年度から取り組んできた事務事業評価もシステムの精度を高めながら、平成20年度頃から政策・施策評価を導入することとしている。
 行政改革推進委員会行政評価部会(委員5人)による外部評価も行われており、自浄能力を高めるものとして大いに期待されている。


 行政運営は人によりなされる。担当する人の意識が変わらなければ、何も変わらない。ゆえにその仕組みづくりが全てである。仕組みが変われば、意識が変わるからである。  瀬戸内海の温暖な気候に恵まれ、高松の行革への取組みは多岐に渡っているが、州都の余裕を感ずるほどであった。
 しかし、経常収支比率、公債費比率、市債残高比率などの高松市財政指標は厳しい。残された時間はすくない。行政の基本は「最小の経費で最大のサービス」であるはず。成果を重視した行財政運営の転換がどのようになされるのか、今後に期待したい。

 視察に際し、高松市議会事務局や企画課行政改革推進室の皆様に大変にお世話になりました。ありがとうごいざいました。


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