伊藤ひであきの視察報告

視察報告 金沢のにぎわい 06.10.31

●「情報発信の商店街」へ

 色づき始めた兼六園、開館して2年目を迎えた「金沢21世紀美術館」、加賀百万石の象徴ー金沢城・・・・。一方で石川県庁や金沢大学は郊外に移転してしまった。当然であるが、中心市街地のにぎわいは大きな転機を迎える。
 こううした背景から、古い歴史を持つ片町商店街は、国道沿いの大通りに面し老舗から、最新トレンドショップや夜の繁華街が一同に軒を連ねる歴史ある商店街は立ち上がる。

 そこで展開されたのが「情報発信のまちづくり」。テレビやフリーペーパー、携帯電話を駆使したイベントなどで商店街からお得な情報を発信して、顧客を呼び寄せる仕組みを考案し、取り組んでいる。また片町・香林坊地区など5商店街で一丸となってイベントなどを開催し、魅力の再発見を促している。

 その具体化の突破口となったのは「金沢ビズカフェ」。空き店舗を利用して、1階はインターネットカフェ(現在は役目を果たして洋食屋)、2階はインターネットを利用したコミュニティベース、3階はパソコン教室。これらを地元企業や行政、大学と連携をとりながら2001年より展開した。

 また、片町商店街をフィールドにした商店街のLAN化、プラズマ大型ディスプレイ、そのプラズマと携帯電話との連携などにも取り組んだ。来訪者が料理の写真を携帯電話で撮影し投稿し、商店街ホームページ「イーカタマチドットコム」や大型ディスプレイに反映したり、メールマガジンで片町美人ママを動画で配信するなどユニークでおもしろい。またそれらを駆使した「e片町スゴロク」や「片町ゆかたまつり」「クリスマス片町テレビ特番」などのイベントを開催。これらの情報発信で、マスコミやメディアがらの注目度も高まり、複合的ににぎわいが広がっていった。

●テナントミックス事業

 こうした戦略の背景にあるのはテナントミックス事業。ポイントは人−キーパーソンである。長年の商業振興施策経験を活かし、ノウハウや人的ネットワークを保持する市役所職員を指名し、TMO(葛熨商業活性化センター)が設立され、率先して中心街の課題解決に取り組んだ。

 そして重点地区を絞り込み、「金沢中心商店街まちづくり協議会」を活用し、関係者の全面的協力体制も確立し、その名称を市民から公募して「ブレーゴ」(イタリア語のどうぞ、どういたしまして)ともした。

 「ニーズにあった商店街であれば活気を呼び戻す事ができる」という目標を明確化し、積極果敢にテナント誘致を展開、こうして平成10年時点で空き店舗、空き地が7件、にぎわいのポイントであるファーストフード店が2店、ブランド路面店は無しという状況であったが、5年後には空き店舗が無くなり、ファーストフード店が13店、ブランド路面店は4店という中心商店街らしくなり、若者が集まり、歩行者通行量も増加してきた。

●ユニークな取組みで挑戦は続く

 こうして現代と歴史が融合するまち片町商店街は、昼と夜ではまったく違う顔を持ち、昼はショッピング街として、最新のトレンドショップから、金沢の伝統工芸品を扱う老舗が立ち並び、のんびりとお買物を楽しんでいただけます。夜は北陸随一の繁華街として数千軒におよぶ飲食店が連ね、夜遅くまで街なかの賑いは続く。

 今年6月、経済産業省が発刊した「がんばる商店街77選」に片町商店街が選定された。

 最近では、「金沢5タウンズショッピングタクシー」を運行するという。これは民間タクシー会社の協力を得て、この11月3日から1月8日(月)期間の週末、利用者が「金沢5タウンズマガジンVol.6」に付いているタクシー往復チケットを指定の乗降場で提示すると金沢駅⇔5タウンズ間を無料でタクシーを利用する事ができるという事業。マガジンは市内のみならず、富山県、福井県でも配布されるという。

 年間観光客は600万人、宿泊数は200万人を超え、流入人口は1000万人を超えるという人口46万人の国際観光都市ではあるが、そのバックグランドに甘えているのでなく、積極果敢な「元気な商店街」への懸命な挑戦の汗を金沢で学んだ。

 視察に際し、金沢市議会事務局や関係部局の皆様に大変にお世話になりました。ありがとうごいざいました。


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