バランスシートは、従来示されてこなかったストック情報を開示する。つまり借金と資産である。資産は、自治体が将来にわたり住民に提供できるサービスの能力を示す。
だから、バランスシートの次にすべきなのは、過剰債務解消に向けたコスト削減と、住民への説明責任をきちんと果たす事である。バランスシートは”目標”でなく、あくまでも”始まり”なのである。
@フロー情報を扱うのが「行政コスト計算書」、ストック情報を扱うのが「バランスシート」。H15年を境に市民一人当たりの収入を行政コストが上回るという逆転現象が続いている。そのなかで正味資産は着実に増えてきている。このことの関連をどう説明するか。
A目的別行政コストの内訳では行政コストを始めたH12年では民生費は235億円、土木費は169億円、H17年度民生費が301億円(128.0%)、次いで土木費169億円、移転支出的なコストのなかでも扶助費はH12年度では15,464百万円がH17年度では19,828百万円(128.2%)。今後の少子高齢化に突入していく中で、行財政運営の方向付けはどのように分析されているか。
Bこれら財務諸表は、どこまでも「市民を笑顔でつなぐためのもの」でなければならないはずです。豊橋では事務事業評価から政策施策評価へ行政評価システムを構築してきた貴重な財産がある。この行政評価システムとバランスシート、行政コスト計算書との連携についてはどのような考え方をもっているか。
(二問目) @バランスシート作成のマニュアル−2000年3月の「「自治省報告」に基づいています。過去の建設費を機械的に足しこんだだけで「資産」として計上しています。個々の財産の評価はしていません。「中味不明」「市民的価値考慮なし」のまま「説明責任」の名の下に公表されていることに、「これでいいのか」という疑問も持つがどうか。
A「昨年10月の「中核市サミット」で長野市長から問題提起されたが、自治体会計は厳しい状態が続くが、複式簿記の目から見ると、優良企業かもしれない。なぜかS43年以前の40年経過した財産は評価0とされている。市有財産の流動化によってキャッシュフローを得て、それによって投資資金を得ていく発想が必要でないか」との発言があった。
わが国の公会計はM22年から単式簿記、現金主義会計が導入されて以来、100年以上にわたって抜本的改革が行われないまま現在に至っている。
海外では複式簿記・発生主義会計の導入が進められ、財政改革のツールとして活用され、「経営」の視点を確立している。東京都はH18年度からすべての会計において導入。
最近のように三位一体改革の影響があっても、行政コスト計算書により、各年度の減価償却を把握し、その部分を資金として積み立て、市民に不可欠の福祉・医療・教育・住宅施設の維持や建替えに備えていく。そういうバランスシートの表示、すなわち複式簿記の展開について一定の考え方を伺いたい。