伊藤ひであきの視察報告

●派遣団(2)エイジコンサーンの高齢者福祉● 06.09.28

●イギリスの社会保障
 「ゆりかごから墓場まで」といわれるイギリスの社会保障にもいろいろな課題が内在していて、税金でまかなっているが年々社会保障費予算が足らなくなってきているのが現実。所得税は23%、さらに年収600万円を超えると40%、消費税は17.5%でタバコは約1000円、酒、ガソリンも高い。
 医療にも金がかからないことになっている。NHS(ナショナルヘルスサービス)制度で区内の家庭医に登録して、家庭医の処方箋をもって薬局へ行き、6ポンドの自己負担を限度に薬も処方してもらう。しかし、この制度も年々増大する国民医療費にたちゆかない。

●エイジコンサーン
 イギリスでは「パートナーシップ」という言葉の下で、高齢者福祉など行政がになってきた分野に、民間セクター・ボランティアセクターが機能して取り組んでいる。
 その歴史も古く、第二次世界大戦後の混乱の中で高齢者の生活の援助をきっかけにできたボランティアであり、組織体制が確立されてきて、今ではイギリスだけでも900もの支部がある。
 「老後の生活をいかに豊かにするのか」という課題に「高齢者に優しい政府」の実現をめざし、各地域で独立し、地域ニーズに応じて福祉サービスを提供している。  こうしたニーズを調査し研究し、その実現のために政府・議会。地方政府に要請したり交渉したり活動は活発である。

 特に活動内容としては
・老人問題に関するあらゆる情報提供
・ランチクラブの運営やランチ配達サービス
・雑誌やパンフレットなど情報提供出版
・病院や施設への送迎サービスや緊急時の駆けつけサービス
・介護者やヘルパーの講習や訓練
・中高齢者のレクリエーションやレジャー活動などである。

●エンフィールドのエイジ・コンサーン
 私たちを迎えてくれたのはエンフィールド地域のコンサーンの代表者やスタッフ、ボランティアの人たちで、会場はフィットネスクラブのミーティングサロンのようなところであった。「健康を保ち、転倒したりしてケガをしない体をつくるために運動する」ためにこのフィットネスクラブも大いに利用している。特に過剰に肥満したりした人たちを助ける施設でもある。
 エイジコンサーンでは192名のボランティアの参加を得て、マネージャーのもとで事務担当と9人の資格を持ったケア・スタッフで運営している。年間予算は28万ポンド、7割は人件費である。一人当たり30ポンド/月かかるが家庭の負担を5割。

●ディサービスセンター
 エンフィールドのエイジコンサーンが主宰するディサービスセンターも訪問したが、特にここでは認知症の人たちの回復に力を入れている施設であった。1階のフロアには15人ほどの老人がボランティアの人たちとゲームに興じていた。数を合わせたり、カードを揃えたり、日本のディサービスセンターと同じような光景であった。
 にこやかに会釈してくれる人、ちょっとグループになじめず離れている人など様々であった。

 「豊かな老後」イギリスでも日本でも共通語ではあるが、その実現には多くの人手とコストがかかる。そこをバックアップする大きなボランティア組織−エイジコンサーン。イギリスの大地にしっかりと根付いて、大きな役割を果たしている。

■この報告は派遣団の公式報告ではありません■


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