(1)改めて地方自治体の首長の退職金の問題が国会においても論議されたが市長の認識と対応について伺いたい。
平成15年の12月議会で問題提起、翌平成16年3月議会で「豊橋市長等の退職手当に関する条例」の改正がなされ、報酬×在職月数×例えば市長は100分の65から60に減額された。併せて市長等の報酬月額も変更になったので、改正以前の3441万円が3142万円にまで減額された。
それでも市民感覚でいえば「えっ、4年間市長をやればそんなにたくさんもらえるの」というのが率直な感想ではなかろうか。
市長の退職手当が高額かどうか。全国知事会長の麻生渡福岡県知事はこう代弁する。「(退職金が)多いか少ないか、というのは物の見方。われわれが負ういろいろな責任、あるいは激務度から考えるべきだ」と。
首長が住民に対して重い責任を負っているのは当然だ。激務であることには敬意を表したい。だが、現行の退職手当が適切な水準であるかどうかは、別の問題として検討すべきではないか。
小泉首相の場合、今年9月に退任したとして退職金は約660万円だそうだ。地方自治体の首長と首相の退職金を一律に比較するのは乱暴かもしれないが、首相が「高すぎる」と指摘するのはうなずける話である。
地方交付税をめぐって与謝野馨・経済財政担当相が「仕送り先でうな重」と皮肉ったのに対し、麻生会長が「地方は麦飯だ」と反論したのは記憶に新しい。
宮崎県の安藤忠恕知事は「行財政改革にかける決意を明らかにする」として自ら退職手当を50%減額している。お隣の湖西市では「市長退職金の返上」を掲げた2004/11月に三上市長が誕生した。あれから1年半、条例改正案がいまだに上程されていません。「そんなことよりも、市長を退職してから、まるっきり湖西市に寄付しなさい」という意見が議会にもあるとか。
一方で都道府県知事や市町村長らの退職金を決める際、審議会や有識者会議など第三者機関に諮問する体制を整えている自治体は1割程度にとどまっていることが5月25日、参院行政改革特別委員会に提出された総務省の抽出調査結果で明らかになった。
自治体議員の報酬に関しては、総務省の通達を受け、本市においても豊橋市特別職報酬等審議会を設置しているが、高額批判の強い首長の退職金については透明度が低い実態が浮き彫りになった格好。竹中平蔵総務相はこれまでの国会答弁で「(首長の退職金も)審議会で議論することが好ましい」との認識を示しており、首長の退職手当は、各自治体の条例に基づいて支給されており、自治体側にゲタが預けられたことになった。
@市長自身は国会におけるこの論議について、どう認識しているのか。
A本市の特別職報酬等審議会のなかでの論議に、特別職の退職金についてはどのような審議の対象になっているのか。併せて実態を正確に把握するために審議会委員の中に特別職経験者、これは議員経験者も含めて加えるべきではないのか。
(2)「地方分権21世紀ビジョン懇談会」は今後3年間で5兆円規模の大幅な税源委譲、地方債の発行の完全自由化などを示し、歳入・歳出一体改革や第二期三位一体改革の流れが始まった。市長の認識と対応を伺いたい。
3月議会「3年間にわたる三位一体改革の総括」を3月議会で論議させていただいて、「真の地方分権を確立するため税源委譲こそ次のステップへの大きな課題である」と答えられている。私のほうからも、自主的な地域づくりのために「地方分権一括法」の精神に従って自治事務については国が関与することはあってはならない、また法定受託事務の経費の負担については、国がその経費を充分手当てすべきことなどを申し上げました。
さて、全国知事会など地方6団体は、「地方分権の推進に関する意見」を内閣と国会へ提出することを正式に決め、地方自治法に基づく意見提出権を12年ぶりに行使するという「伝家の宝刀」を抜くという新たな段階にさしかかっています。
意見書の前文で地方側は「我々(われわれ)の重大な決意と意見提出権の重み」を十分理解するように―と、国側へくぎを刺している。まったく同感である。
意見の内容は、答弁にあるように7つの提言を予定しています。これらは地方6団体の有識者会議「新地方分権構想検討委員会」がまとめた中間報告を下敷きにしています。
その中で政府と地方の代表者が地方分権を協議する「地方行財政会議」の設置を明記した「新地方分権推進法」の制定をはじめ、地方交付税を「地方共有税」に変更する提言、税源移譲で国税と地方税の配分を現行の6対4から5対5の比率にする改革案などを盛り込まれています。
@市長はこうした動きに併せ、「積極的に対応していきたい」と答えられたが、特に象徴的なのは「地方交付税を地方共有税」に変更する、税源移譲で国税と地方税の配分を現行の6対4から5対5の比率にする改革案などにどのような認識を持っておられるのか伺いたい。
特に、国民は地方交付税という税を納めたことがないはずであり、非常にわかりにくい制度のまま推移し、補助事業の地方負担を確保するためや、地方債の発行許可とセットで公共事業を行わせるための手段にして国が政策誘導的に恣意的に配ってきた傾向がある。
それを、各地域の現実を基に、地方の意思を集約する地方固有の財源にしようとする意味での「地方共有税」の提案をどう考えられているか伺いたい。
また、財政再建をめぐる論議も活発で「財政・経済一体改革会議」を発足させ、大詰めの協議を始めた。歳出・歳入一体改革と成長戦略は、政府が6月中に決定する「骨太の方針」に盛り込む、車の両輪となる政策。
財政の再建には、まず歳出削減を徹底し、成長力を高めて税収を増やすのが常道だと考えます。政府・与党は「国と地方を合わせた基礎的財政収支を2011年度に黒字化する」目標を掲げています。政府の経済財政諮問会議の試算では、目標達成には20兆円の財源不足を埋める必要があり、これを歳出削減だけで達成しようとすれば、福祉の切り捨てなど国民生活に多大な影響が出るのは必至です。逆にすべてを消費税の増税で埋めようとすれば、税率は13%程度に跳ね上がるといわれています。
A行政サービスの低下につながる歳出削減にしろ増税にしろ、どちらも国民に痛みを強いるものだ。大きな財政転換点に立つ国と地方自治体。中核市市長として10年目を迎えた市長はこの歳出・歳入一体改革をどう捉えているのか伺いたい。
(3)いずれにしても痛みを伴う時代に突入しているわけで、それをできる限り緩和するのが国と地方の政治の役割のはずである。
構造改革が進み、一方で格差拡大が進み、セフティネット構築も重要な政策課題である。日本の景気は回復傾向にあるといわれても、市内の中小企業を回れば、その実感はないというのが本当のところではないでしょうか。本市の融資制度についても今年度から「担保・保証人とも原則として要しない」制度に変えられて資金繰りが厳しい中小企業支援策を手厚くされたご努力に敬意を表したい。
また、原油高や石油製品の高騰でさまざまな分野で影響が出始めています。ここらの対策もぬかりなく、きめ細かくお願いしたい。
いづれにしても、本市の融資制度は「金貸し」でなく「中小企業支援策」としての融資制度であり、様々な中小企業支援策と連携した、活力ある街づくりのための支援策の充実に努力していただきたい。
また、「下層社会」というベストセラーに象徴されるように日本世論調査会の調査でも、所得格差の拡大を実感している人は87%にのぼる。
所得格差が広がり始めたのは、バブル経済が崩壊し長期不況期に入った90年代からだ。企業はコスト削減に向けてリストラなどで正規雇用者を削減し、派遣やパートに切り替えるなどの「体質改善」を進めてきた。それが景気回復の1つの要因になったわけだろうが、一方で非正規雇用や若年無業者の増加を生み、賃金による所得格差の拡大を加速させた。働き盛り世代や若年層の所得格差拡大は、現役世代に支えられた年金など社会保障システムの維持に影響を及ぼすだけではない。不安定な生活基盤は少子化を加速させるおそれもある。「格差社会」にこそ、政治の役割がより求められている。当局のきめ細かい取り組みに期待する。
(4)5年間にわたる「豊橋市市町村合併研究会報告書」が公表されたがその成果と今後の取り組みについて伺いたい。
答弁にあったように「市町村合併は単に規模の拡大を目指すのでなく、住民が主体的に活動するという地域の自立の上に経って、周辺地域住民の利便性や満足度を高めることが重要」であり、最初から合併あり気ではないはず。
@その上で、28ページにわたる報告書は「東三河地域における合併の第一段階の形が整った現在、広域連携を推進する中で、豊橋市民はもちろん、周辺市町村の住民の福祉の向上に繋がる都市ビジョンを検討していく段階にきている」とまとめているが、生活の都-東三河をコンセプトに平成6年2月に「東三河地方拠点都市地域基本計画」が「同推進協議会」によって作成されて10年が経過している。
当時の19市町村という枠組みも大きく様変わりしている。報告書で示す「都市ビジョン」と、10年経過して中身の総括と新たな計画が要請される「東三河地方拠点都市地域基本計画」について伺いたい。
A市長は10年目を向かえ、来年秋には改選期を迎える。6年前の市長選公約の中に「三河市構想の推進」が掲げられていたが、あと1年半に何をどうしようと考えておられるのか伺いたい。