伊藤ひであきの視察報告

視察報告 モノづくりのまち東大阪 06.01.17

 年末から年始にかけて熱戦が展開されていた高校ラグビーをはじめ若きラガーマンたちの憧れの地ー花園ラグビー場。青春の汗と感動の集積地である。このラグビー場がある東大阪市はまた全国有数のモノづくりの工業集積地であり、「歯ブラシから人工衛星まで、なんでも作れる東大阪」なのである。

 人口51万人、面積61.81ku、昨春からはこの狭い面積用件が緩和されて中核市になっている。3年前に新築移転された市役所の議会棟がある13階からこの東大阪市の「地の利」が手に取るように明確に解る。
 東は奈良県に接する生駒山のふもとから広がる河内平野の真ん中に位置し、西は大阪市、北は大東市、南は八尾市と接し、東西南北に高速道路網が広がる。伊丹空港、関西空港へも約40分から50分、5つの在来線が乗り入れており狭い市域の中に21の駅が鉄道網を充実させている。

 工場数は約7000、機械・金属を中心として基盤技術産業の日本一の集積地の特徴は20人未満の事業所が90.4%を占める小規模事業所により構成されている事である。我が愛知県でみられるような大企業と系列会社で構成されているのでなく、東大阪では近隣の協力工場とネットワークを形成しながら、横受け・仲間受けといった多彩な企業取引を行っている点である。
 それだけに各企業が専門分野に特化し、独自技術を向上させている。この有機的な分業システムが最終製品を多分野・多品種に及んでいる事につながる。よって「なんでも作れ、なんでもそろう東大阪」なのである。

 この日本一の工業集積をバックアップし苗床としての機能的役割を東大阪市の施策が担っている。「モノづくりの最適環境」を提供するための柱は@高付加価値の製品開発支援A創業、第二創業支援B国内外の企業誘致C国内外の販路開拓である。

 その拠点が市役所に隣接しているクリエイション・コア東大阪。製造業や国内外の企業取引に精通した技術コーディネーターと販路開拓コーディネーターが受発注相談に対応し、情報提供やアドバイスをワンストップサービスで実施している。その実施ノウハウの集積には大阪大学や同志社大学など13大学の産学連携オフイス、大学サテライト研究室が並び窓口を開設している。

 このクリエイション・コアの常設展示場を訪問すると目を見張るのは約200ブースの常設展示場で、東大阪の誇る優れた技術・製品を実物やパネルで展示していて、モノづくりに賭ける息吹が伝わってくる。小規模場ながらトップシェアを誇る企業や自社ブランドの誇りが小さなブースに凝縮されている。はづ連れないネジ、精密な玩具、工夫した爪楊枝など小さなものから大きなものまで展示されている様は壮観である。

 日本経済を支える中小企業のモノづくりの限りない可能性とそれに賭ける職人気質で貫かれたやる気、それを支える地方自治体ーその無限の可能性の一端を東大阪で実感させていただいた。
 視察に際し、東大阪市議会事務局の稲村主幹、経済部モノづくり支援室の朝日次長に大変にお世話になりました。ありがとういございました。


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