伊藤ひであきの視察報告

視察報告 羽ばたく清水港 05.11.14

 豊橋市議会総務委員会の一員として11月14日、静岡市清水港を視察させていただきました。

●歴史あるドル箱清水港
 今春、全国14番目の政令指定都市となった静岡市。人口は71万人、面積は実に南の駿河湾から北は長野・山梨の県境の南アルプスに至り1374kuと実に広大な県都である。
 その新静岡市の象徴なのが特定重要港湾として日本を代表する清水港。駿河湾臨海工業地帯を擁し、国際貿易と遠洋漁業の基地であり、世界的な視野を持つ物流経済の中心地としての性格を併せ持っている。
 その歴史は古く、「日本書紀」にも登場し、江戸時代には千石船などの出入りでにぎわった。明治19年には清水の次郎長が清水波止場に船宿を開業したことに因み船宿記念館−末廣も復元され貴重な施設となっている。昭和27年には特定重要港湾に指定され、管理主体は静岡県。
 清水港の貿易額は輸出2兆108億円余で二輪自動車・原動機付自転車・映像機器など、輸入額は6,084億円余で魚介類及び同調製品、原動機などが中心で総額2兆62百億円余と三河港についで第8位。

●コンテナ港に特化
 そして何よりも清水港が際立っているのは昭和45年にコンテナクレーンを初設置し、コンテナ船が初入港したという歴史からもうかがい知れるが、コンテナクレーンが8基林立し、コンテナ取扱個数が52万個(TEU)と3年連続で過去最高を更新しているコンテナ港であるということ。
 そのための定期コンテナ航路は19航路、海外向けのポートセールスも活発で、視察した当日も市長を先頭にアジアに出向いているという。入出港の荷役作業を365日24時間フルサポート体制、日本一低廉な入港料、割安な港湾施設利用料など大型インセンティブが経費を大幅に削減できるメリット、便利な交通アクセス、さらには先進の物流総合情報システム「清水港VAN」などが複合的に作用し6大港(東京・横浜・名古屋・神戸・大阪・博多)に迫っている。この点ではコンテナクレーンが1基しかなく、やっと3万個TEUを超えた我が三河港の比ではない。

 しかし、静岡県のコンテナ貨物は全国第6位の生産・消費コンテナ貨物を有している、しかし輸出で40%、輸入でも45%が東京湾及び名古屋港を利用している現実がある。それだけにターミナルを一体化し、岸壁を15m水深の大型化にし、さらに使い安く整備しようと、10年後には興津第1、第2埠頭間を埋めたて内外貿ターミナルを一体化しようと整備計画は進む。

●これからの清水港
 また「賑わいと出会いの場」「憩いと安らぎの場」の創出をめざし「国際海洋文化都市マリンピアの創造」にも取組んでいて、その象徴が静岡市都市局都市計画部市街地整備課が担当する「日の出地区再開発事業」。すでに市街地再開発事業で再開発ビル「浪漫館」が民間施行で完成し、住宅99戸を含めた地下1階、地上14階の威容を誇っている。
 また年間400万人の客を入り込む「エスパルス・ドリームプラザ」も再開発計画の目玉として誕生していて清水すし横丁はつとに有名。来年夏の完成をめざす組合施行の再開発ビルの建設工事も進んでいる。

 大規模地震対策やSOLAS条約に基づく保安対策、また「みなと色彩計画」も軌道に乗り、富士山を望み、日本三大美港(神戸・長崎・清水)としても特徴的である。

 今後、「スーパー中枢港湾」の動き、公共投資の削減、アジア貿易の拡大などの内外の動きの中で、清水港が今後、どのように「世界に羽ばたく港まち清水」を創出していくかは、新静岡市の大きな注目ポイントである。

 視察に際し、静岡県清水港管理局をはじめ市議会事務局の皆様など関係各位に心からお礼申し上げます。


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