伊藤ひであきの視察報告

視察報告 いわき(以和貴)の小名浜港 05.11.16

 柏市から常磐線に乗り水戸で「スーパーひたち」で1時間、福島県の南東端の中核市―いわき市である。

 人口35万人、面積1,231kuと今春までは「日本一広い市」。東京まで約200km、仙台まで約150kmと首都圏と東北経済圏の中間点にあり、古来、岩城・岩城・磐城の称が冠せられていて、その混乱をさけるためにも昭和41年の5市4町5村が合併して「いわき市」が誕生した。

 2ヶ月前、このいわき市で市を二分するような激しい市長選が展開され、3期目に挑んだ現職を前自民党県議が破って第11代櫛田一男新市長が誕生したばかりで、私たちが到着した15日は新市長を迎えての初の定例議会の最終日で追加議案もあり夜11時まで開かれていたという。
 いわき駅前などの平地区を基盤とし商業振興に力点を置いた前市長に、小名浜地区を中心とした港や工業に力点を置く新市長が誕生したと期待が集まっているという。

 いわき市は本州最大の産炭地域として発展し、その中心的な物流拠点を小名浜港が果たしてきた。しかし、採掘すれば15,000円/tかかり輸入すれば5,000円/tという石炭産業の斜陽化から新産業都市建設促進法により急激に工業化が進んだ。そして東北一の工業出荷額を誇る臨海工業地帯が形成され、小名浜港も国際貿易港として港勢を拡大してきた。

 その小名浜港の年間貨物取扱量は1472万t(H16)で全国49位、国際コンテナ取扱量は17,000TEU、特に最近では対中国貨物の輸出量が増加している。その中心的役割を担っているのが「福島県小名浜港利用促進協議会」(会長:いわき市長、会員:55団体)。小名浜港の利用を促進し、背後圏を含む地域経済の振興を図ろうとポートセールスを内外に積極的に推進している。
 しかし、県内で発生・消費される外貨コンテナ貨物の小名浜港利用率は約14%と低く、また平成10年に開設した東南アジア航路が2年後には休止しており、その再開と国内外の集荷活動の成果が待たれる。

 またそれに伴うコンテナ貨物の物流基盤及び港湾機能インフラ整備は今後の小名浜港の大きな課題でもある。特に常磐自動車道や磐越自動車道からのアクセスや市街地と臨海部を分断している臨海鉄道をどうするかもポイントである。

 また平成9年7月には「いわき・ら・ら・ミュウ」がさらに平成12年7月には「アクアマリンふくしま」が相次いでオープンし、年間200万人の集客拠点となっているのをはじめ、「アクアマリンパーク」の整備も進むなど親水空間として施設整備が進んでいる。しかし、港の集客効果が市街地へ及ばないことや中心市街地の空洞化などから、新たな集客施設の整備が求められている。このため1・2号埠頭間にある倉庫群を再整備し、情報発信施設として県が整備する方針が固まってきており、どのように地域活性化につながるのか動向が注目される。

 「和を以って貴しとなす」(以和貴)を音読みすれば「いわき」となり、市の名前には一体的発展の意味も込められているという。前述した市長選に見られる地域間競争を超え、港を管理する福島県と「福島県小名浜港利用促進協議会」、そしていわき市みなと課などがどのように小名浜港を一体的発展につなげていけるか、正念場である。その鍵は「以和貴」かも知れない。

 視察に際し、いわき市企画調整部みなと課の皆様をはじめ議会事務局の皆様に大変に丁寧な説明をいただき、小名浜港全体を案内していただきありがとうございました。


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