@診療業務委託量 284,724千円 昨年度予算は 275,799千円であった。
大枠でいえば昨年度予算のうち180,000千円が診療報酬から、9000万円が赤字を補填する意味で一般財源から投入されていた。
そこで昨年4月の診療報酬改定の小児関連で目玉となったのは「地域連携小児夜間・休日診療料」(患者1人あたり300点=3000円)算定要件の緩和だ。地域の医師がシフトを組んで夜間・休日も診療できる体制を取ったときの特別加算だが、これまでほとんど普及していなかった。「24時間対応」「小児科をチームで担当できる医師が10人以上」など要件がきつかったためだ。
この時の改定では、この要件の「24時間」がなくなった。医師数の要件も「10人以上」が「3人以上」に減った。このほかでも小児科全般で、夜間・休日の時間外加算を算定しやすくなった。
それで本市の休日夜間診療所の小児科にはH14年度では13,933人、H15年度で14,442人の診療状況である。この患者数に3,000円を乗ずれば約4000万円が診療報酬から得られることになる。
市医師会の役員が厚生労働大臣が豊橋に来られるたびに陳情しておられたが、この1年間の経過と、新年度予算編成にどのような影響を与えているか、すなわち休日夜間診療所の運営にどのような変化を与えているか。
(小児診療は成人に比べ経済効率が悪いと言われる。子どもは夜に熱を出しがちだし、注射を嫌がって暴れるなど手がかかるからだ。親への説明や教育にも時間がかかる。医業費用に占める人件費の割合は、内科が約36%なのに対し小児科は約60%(2001年医療経済実態調査報告、個人立一般診療所1施設あたり)。小児は回復が早いから、成人なら1週間分薬を出すところが1、2日分で済む。再診も少ない。多少の加算では、この小児科特性による構造不況は埋まらないといわれている。
こうした背景に、少子化が加わって出てきたのが現在の小児医療の問題だ。患者数の先細り、それに伴う小児科志望者の減少、人手不足による病院小児科の慢性的な過重労働。それに、「少なく生んで大事に育てたい」から専門医を求める親の思いがある。
小児医療関係者の間で、最近にわかに現実味を帯びてきた話題がある。
「小児保健法」療体系を別に作るべきという考えだ。いわば老人保健法の小児版。医師や看護師の配置基準や患者の負担も変わる。加算、加算で埋めてきた小児医療の穴を、根っこからなくそうというものだ。
医師の使命感に訴えるだけでは、小児医療の問題は解決しない。社会全体で子どもを育てるという意識の共有が、体制整備の前提になる。)