伊藤ひであきの視察報告

加古川のウェルネスパーク 04.11.24

 右に神戸市、左に姫路市、そして南は瀬戸内海に面して、東播磨の中核都市として成長を続けるー加古川市。人口27万人、面積138ku。

 兵庫県下最大の一級河川−加古川は10月の台風23号の増水で猛威をふるい、そのすさまじさが傾いた川の樹木に張り付くように残っているゴミの多さからうかがい知れる。
 その加古川の左岸の小高い丘の豊かな自然環境のなかにゆったりと配置された「加古川ウェルネスパーク」を豊橋市議会福祉教育委員会の視察で訪問した。

 「ウェルネス」とは「人間を取り巻くあらゆる面から健康になろうとする考え方で、個人が自分の健康を自分で守り、質の高い健康を獲得するために自分自身のライフスタイルを向上させていく活動」のこと。
 加古川市では2000年に「ウェルネス都市宣言」を行い、このウェルネスパークを中心施設に市民のウェルネスライフを支援し、03年には「ウェルネスプランかこがわ」を策定している。

 その総合拠点「ウェルネスパーク」は97年11月にオープンしており斬新なデザインのウェルネスセンターのマシンジム、プール機能、音楽ホールのアラベスクホール、図書館機能、そして全体の7割近くの公園エリアから成り立っている。文字通り健康文化と生涯学習を通じて快適な暮らしのまちを創造的にめざす加古川市の象徴である。

 それだけにウェルネスセンターは「ひととまちの交響楽園」をめざし、ルーバー屋根からは自然光のふりそそぎ、音楽ホールは木の葉型のデザインで開放的なホワイエをめぐらせ、図書館もゆらぎの池と庭園を見渡せる絶好の学習環境をかもし出している。

 建設事業費は92億6千万円、その9割は地域総合整備事業による起債である。管理運営は3つの施設の管理運営を財団法人「加古川市ウェルネス協会」が受託している。
 15年度の利用者数は59万1千人、音楽ホールも288回の利用回数と加古川市の公共施設では最高の利用拠点である。

 いわゆる「まちづくり」の手法はさまざまにある。全国の自治体は住民が「住んでよかった」と実感できるまちづくりに厳しい財政環境の中で悪戦苦闘しているのが現状でないだろうか。そのための情報化、市民との協働化、環境福祉教育施策の展開、そして行財政運営・・・・・。
 そうした中で加古川市のように京阪神のベッドタウンを背景にまちづくりのコンセプトを明確にし、そのコンセプトを象徴し、機能化する複合拠点を整備し、まちづくりの拠点施設化していく。加古川にはそのストーリーが生き生きと脈打っている主体的なまちづくりが実感できた。


ホームページに戻る 視察報告メニュー