伊藤ひであきの視察報告

大分の幼保一元化への試み 04.08.02

 今日から公明党豊橋市議団による行政視察。
8月2日は大分市で保育所分園設置についてとペットの飼える市営住宅建設について、3日は長崎市で「健康長崎市民21」について、長崎ペンギン水族館について、4日は糸満市で「かじゅまる児童センター」について、糸満観光農園について、最終日の5日は那覇市で「高齢者福祉事業について」以上が、3泊4日の行政視察日程と調査項目である。

 朝、8時5分豊橋駅を出て、一路西へ。途中、広島を通過した頃から曇天の雨模様。台風の余波で高知や宮崎では集中豪雨による被害が拡大している模様、また加古川では8人の殺傷事件が起きていることなど新幹線車中のニューステロップが流れ気持ちも曇天。
 大分に着いたのは午後2時過ぎ。大分市役所で調査項目の説明を受ける頃から、やっと青空が少しづつ顔を出してきた。

 大分市は人口44万人。来年早々には隣接する佐賀関町と野津原町と合併し、新大分市が発足する予定になっていて、文字通り豊後の国の「心かよい 緑あふれる 躍動都市」−大分市である。

 この大分市の保育所は公立が13園、法人立が49園、幼稚園は公立32園。この点は我が豊橋と大きな差がある。豊橋市では保育園は公立が5園、法人立が50園、幼稚園は30園全てが法人立である。
 保育所は保護者が労働や病気などの理由で児童の保育ができない場合に、保護者の委託を受けてその児童の保育を行う児童福祉施設であるが、大分市の保育の現状は女性の社会進出や経済情勢の影響により共働き家庭が増えたことから入所希望者は年々増加する傾向にあり、施設整備などによる定員拡大施策を上回るものがあった。

 こうした折、国の「待機児童ゼロ作戦」戦略もあり、保育所分園設置の促進や余裕教室の活用の推進が示された事から、保育所待機児童が多く存在している敷戸地域において、(待機児童は平成14年4月時点で敷戸地域において14人、市全体では46人)敷戸南保育所に隣接する敷戸幼稚園の余裕教室を活用し、分園を設置する事により待機児童の解消に努める事になった。

 こうして平成14年9月に分園を開設した。隣接する敷戸幼稚園の1室を保育室に、もう1室を事務室兼医務室に、併せてトイレも改造(総事業費1,900万円)。これにより分園に29名まで入所可能となった。分園設置により待機児童の解消だけでなく、幼稚園と保育所との園児の交流がこれまで以上に活発となり、幼保の連携が図れるといった事業効果もあがっている。

 現時点で敷戸南保育所の定員は110名、入所状況は0歳児4人、1歳児11人、2歳児18人、3歳児26人、4歳児27人、5歳児27人の計113人。この5歳児の「ライオン組」が分園に移動する。幼稚園(1年制保育)に通う園児と同じ年齢である5歳児としているために、幼稚園と保育所との園児の交流することにより、子ども同士のかかわりや経験活動が広がり、同年齢児の友達が増え、一人ひとりが自信を持って行動できるようになっており、事業効果が明らかになっている。

 また、分園設置事業により幼稚園も注目された事から入園希望者が増え、昨年度からは1クラス増え2クラスになり、より多くの幼稚園児との交流も持てるようになった。

 千葉県市原市や東京都江戸川区など都会では0、1、2歳児のための分園が、それも車で30分以内の範囲に設置され効果をあげているが、この大分市では隣接しているという地の利を生かした幼保の連携、一元化の試みが子どもたちに予想以上の大きな成果を挙げている。


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