伊藤ひであきの市政報告

2004年6月 ●教育問題の第二問

2.「子どもの瞳輝く教育」について

(1)幼児殺人、児童虐待など「子ども受難時代」の教育のあり方について

 昨年度の東三河における児童虐待件数は110件に上っている実態が答弁されました。
 本年4月の児童福祉法の改正により児童相談所がより踏み込んだ拡大されましたが、愛知県においては愛知県第3次行革大綱に基づき、平成14年度から、6か所の児童相談センターと3か所の児童・障害者相談センターに児童相談所が再編されました。豊橋市・豊川市・蒲郡市・田原市・宝飯郡・渥美郡をまとめて愛知県東三河児童センターとして児童相談所の業務を行っています。

@深刻化する児童虐待などに対してはもっときめ細かく豊橋市として取り組んでいく体制、例えば児童相談センターや学校、病院、警察、地域などが連携する「児童虐待防止ネットワーク」の体制が必要ではないのか伺いたい。また児童虐待またはその恐れのある家庭の早期発見にも資する「育児支援家庭訪問指導」の仕組みづくりにも取り組むべきと考えるがどうか。

 また6月3日に行われた豊橋市青少年問題協議会の席上でも市内小中学校の昨年度暴力行為調査結果でも中学校では110件、小学校では20件と暴力行為の増加、低年齢化が目立つことも報告されたばかりです。

 今回の小6女児殺害事件がおきた長崎県では昨年7月、当時12歳の男子中学生が4歳の男児を駐車場の屋上から落として死なすという事件が発生しています。この事件を受け、文部科学省は児童・生徒の問題行動への対応を総点検するよう全国の学校に要請し、この4月には、学校と地域住民らからなるネットワークを強化し、子どもの情報を共有するよう指示を出したばかりです。にもかかわらず、事件は繰り返された。しかも、学童にとっては最も安全であるべき校舎内で起きたことは衝撃的です。

 長崎県内の小中学校では昨年7月の長崎市の幼児殺害事件後、命の大切さを繰り返し指導していたという。それでも今回の事件を防げなかった無念さは察するに余りあります。残念に思うのは女児に異変があった―ある証言によれば女児はふさぎ気味で「むかつく」といっては壁をけったりしていると子どもから聞いていたということです。にもかかわらず、大人たちがこのシグナルを見逃してしまったことです。
 本市においても「命の大切さを学ぶ教育」に最も力を注いでこられ、6月2日の校長会でも改めてその徹底をされていますが、それだけでは限界があるのではないでしょうか。
 情報を地域で共有し、学校と家庭が連携を密にして子ども達の異変、SOSのシグナルに特段の注意を払っていけばこれらの事件は防げたのではないのか。であるならば日常的に地域ぐるみで学校の安全を確保していくための体制が必要ではないかと考えます。
 私たち公明党豊橋市議団は、3年前の池田小事件の直後「学校安全対策協議会」の設置を要望しました。これは児童生徒の保護者、PTA、総代会、児童相談所、警察など地域の諸機関が、学校と協力し合い、日常的に地域ぐるみで学校の安全を確保していくための体制です。

A答弁にもあります「各学校におきましても一人ひとりの児童生徒に対し、生活サポーターを中心にしてより多くの目でかかわっていくよう指導していきたい」とありましたが、改めてその具体的な仕組みづくりを要請いたしますが当局の対応を伺いたい。

 また、学校における万全な安全対策を講ずる必要性から「子どもの安全対策の推進を求める要望書」を44427名の署名を添えて3月29日に市長ならびに教育長に提出した経過もあります。
B44,427名の署名の重みをどのように答えられようとしているのか確認させていただきたい。

(2)ネット時代の子どものコミュニケーションとコンピュータ教育について

 佐世保事件はインターネット、掲示板そしてチャットとネット社会の最新ツールが小学6年生の手によって運用され、そこでのやりとりがむごい事件の引き金になったのではないのかという点において新たな問題提起をしています。

 しかし、こうした事件を契機に学校側がメールのチェックや自作HPの届出などネット利用を管理していく方向に行くとしたらそれは間違いだと考えます。インターネットや携帯電話をツールにネット社会はもっと進化していく時代の流れを誰も止めることはできません。
 豊橋の子ども達の携帯電話の所有率は中学3年生で55%。3年前と比べ倍以上の伸び率。小学5年生では8.5%、3年前は5.4%という実態で、特に女子の所持率が高いこともデータが示しています。

 小中学校にパソコンが導入され、急速に携帯電話が普及していくなかでITネット社会が子どもの発達にどんな影響を与えていくのかを指導する教師の側、買い与える父兄の側がもっと真剣に慎重に考える必要があるのではないでしょうか。
 人は人の間で育つから「人間になる」といわれる。自分たちが育った50年前と今の時代の子どもの環境を比べると、そこには少子化、家族サイズの縮小、情報化、都市化、女性の社会進出など「人の間で育つ」ことを難しくしている。あるのは膨大な情報の洪水であり、テレビを友とし、テレビゲームで遊び、パソコンでバーチャルな世界に踏み込んで、メールによる言葉だけのコミュニケーションが何らかの問題を生む可能性は十分に考えられます。

 @答弁にある「ネットワーク機能を生かした指導のあり方を研究」にどのような具体性をもっておられるのか伺いたい。

(3)3年間にわたる「不登校問題対策検討委員会」の成果と対応について

 この委員会は学校教育の枠を超えた様々な立場の委員で構成され「いのち輝く子どもを育む」としてまとめられ、特に17のユニークな提言をには敬意を表するものです。またそれらを「生活サポート主任」など具体的に予算化され取り組まれている教育委員会の対応も良しとするものです。
 しかし、それでも減少傾向にあるとはいえ471名という年間30日以上学校にこない小中学生がいることは深刻な現実で、特に最近は小学生に増加傾向があることも特徴的です。また東西の「麦笛ひろば」にもこない皆欠児童が約60名いる現実もあります。

 以前は学校に来なくて「家に引きこもる」子ども達の背景を難しい学校の勉強についていけない子どもの増加と考えられていた傾向があって教室をいかに楽しい学習の場にするかの取り組みが行われてきて、次第に授業の中味や方法よりも集団の中で過ごすことが苦痛だと思う子が増えて、そうした心のあり方の問題だと考えられるようになって、スクールカウンセラーが臨床心理士という専門的な立場から生徒や父兄のカウンセリングを行い本市においても中学校9校に配置され不登校生徒の減少に貢献してきた経過があります。

 @そこで、文部科学省では来年度には全中学校に配置する予定ですが、本市における準備状況について伺いたい。

 A併せて、スクールカウンセラーの小学校への配置、あるいは検討委員会が提案するピアサポートやエンカウンターなどを小学校の学校・学級経営にもとりいれ「集団の中で仲間とうまくやっていく力、即ち生きる力」を育てていく方途にしたらどうかと考えるが意図することがあれば伺いたい。


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