伊藤ひであきの視察報告

ろまんちっく村は儲かっている−宇都宮市 2003.06.30

 東京から約100km、北関東の中心都市−宇都宮市は東北新幹線、東北自動車道などが貫通する交通の要衝である。江戸時代には宇都宮藩の城下町として栄えた歴史の街でもある。

 その宇都宮市が平成8年の市制100周年という区切りに取り組んだハード事業が三つある。宇都宮美術館、宇都宮市冒険活動センターそしてこの宇都宮市農林公園「ろまんちっく村」である。
 46haの広大な敷地の中に交流ゾーンと体験ゾーンが交錯しさわやかな空間を作り出している。総事業費1,487百万円、農業構造改善事業として75億円、うち約半分の36億円が国の補助金である。市単独事業としては73億円が費やされ用地取得やいこいの広場、つるの里、駐車場等整備に費やされている。

 事業主体は宇都宮市であるが、運営主体は株式会社ろまんちっく村の第三セクターである。

 交流ゾーンの目玉はろまんちっく温泉館と地ビールレストラン、宇都宮物産館である。クア・露天風呂・レストランなどからなる温泉館は50室の宿泊施設も有し絶えず90%以上の回転率であり、宇都宮インターから近いという交通アクセスの利点を生かし信頼できる公共の宿としても人気が高いという。クア施設は年間10万人、露天風呂は200万人、宿泊施設は1万人と開設以来7年間利用者が減らないところが強い。また地域農業者との連携で行われている青空市(野菜・果実などの販売事業)は好評で年間2億円を売るというろまんちっく村の自主事業である。約120人の地元生産農家と連携し地元JAが販売し、鰍まんちっく村が管理している。また、そば処くにもとからのそば打ち会、地ビールの製造販売などメニューは豊富。「新しい農林業振興の拠点を形成」しようという事業コンセプトの具体化でもある。

 体験ゾーンの目玉は市民ふれあい農園(クラインガルテン等)や雑木林を活用した森林浴・散策の広場である四季の森やろまんちっく広場である。

 開園して7年間、毎年来園者が100万人をくだらないという実績がすべてを物語る。その陰にはこのロマンチック村の入場料は無料という英断である。総売上高15億円は公園部門を宇都宮市からの委託料約3億円を含んでの数字であるが、見事に黒字経営となっている。  農林公園構想が具体化されつつあった平成2年にこの地から温泉が湧出したことも幸いしている。

 ドイツのロマンチック街道にならって、栃木県宇都宮市から長野県上田市までの幹線道路をロマンチック街道とし、その出発点であるこの地を「ろまんちっく村」とした取組みは意欲的である。

 豊橋市も資源化センターの余熱利用の一環としてPFI事業との連携も視野に温水プール建設構想が進んでいるが、そもそもこの構想は焼却炉論議のなかから伊藤秀昭が提案した「豊橋環境村構想」とのリンクが前提であったはずであり、温水プール単独では成り立たない話でもある。国道23号豊橋東バイパスの道の駅などとの共用も含め、その成功例が宇都宮にあった。


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