伊藤ひであきの市政報告

2003年12月定例本会議 一般質問
2003年12月 ●一般質問第二問(最終) **** 12/9 02:30

1.早川市政二期目の総仕上げの年でもある来年度予算編成の基本的な考え方と重点施策、歳入見通しについて

 今回の衆院選では「マニフェスト」が大きなキーワードとなり、日本の政治史のなかで「政策そのもの」が真正面から争われた。その中身については様々な評価があるが、いずれにしても日本の選挙に新しい時代がやってきたことだけは確実である。

それで「早川市政二期目の総仕上げの年」と通告させていただいている。来年11月に4年間の市長の任期がきれる。三期目をめざされるのかどうかはともかく、二期目の最後の年の予算編成である。

マニフェスト的にいえば「二期目の間に何をやろうとされて、何が実現できて、何が実現できなかったのか」が問われる。

 3年前の市長選で市長は何を掲げられたか。公的には市長選挙時に初めて発行された「選挙公報」による以外にないが、当時、編成中であった基本構想、基本計画の10大プロジェクトをピックアップして掲載しておられる。

 二期目の再選直後の2000年12月議会の本会議で市長は「4年間で積み上げてきた改革や事業を、さらに4年間で定着・発展させ、この豊橋を日本一住みよいまちへ作り上げてまいりたい」と答弁され所信を述べておられる。

また選挙中しばしば報じられた言葉に「一期目では福祉・環境・教育など各分野で種をまいてきた。二期目で花を開かせ、実をならせたい」とある。

@「二期目を総仕上げするために、定着・発展させようとしておられるのはどのようなことか。どのような花を開かせ、実をならせようとしておられるのか」伺いたい

2.地方を取り巻く当面する諸課題について

(1)国の1兆円の補助金削減の動きなど三位一体改革の動向と地方分権の推進について

 三位一体改革は一体、何のためか。いうまでもなく地方の自由度、裁量権を拡大させ自立した地方分権のためにあったはずが、単なる補助金のカットに終わろうとしている。地方にとっては裁量は広がらず、ただ負担だけが増えるだけ。よって地方が一斉に猛反発している。

 6月の政府方針での補助金についての表現は「廃止・縮減等の改革」。補助金を交付金に衣替えするだけなら何も変わらない。特に10月に「全国市長会」が行った「緊急提言」では地域格差なく国による統一的な措置が望まれるものとして12件をリストアップしているが、その中の「生活保護費負担金」などが国の負担割合を引き下げ1680億円削減するとした。中央省庁の権限を温存したままで歳出をカットしているに過ぎない。

 地方は裁量は広がらず、ただ負担が増えるだけ、あるいは文部科学省は教職員の退職手当削減するかわりに一般財源化しても、退職金は減らしにくい。

 税源においても「所得税や消費税など基幹税が基本」とされたのに手をつけやすい「たばこ税」が有力になりつつある。地方たばこ税は地方税法で定められ、委譲されても地方が税率を変えることはできない。地方の課税自主権にはつながらない。また喫煙人口の減少で税収も長期的には先細りであることは明白。

  昭和25年のシャウプ勧告がなされて、今日の日本の税制が確立されてきたという歴史の中で、シャウプ勧告では「独立した財源が地方自治の基盤である」と定義している。 歴史に「もしも」はタブーだが、このシャウプ勧告が完全に実施されていれば、日本の地方自治は大きく変わっていただろう。

 そして、21世紀に入り時を得て、「三位一体」で大胆に改革するときにあたって、残念ながら国と地方が、各省庁が、また首相と党が三つ巴の対立の構図を示している。

@「桃栗3年、柿8年」という。市長は国政から市長に転進されて7年。憲法が規定する「地方自治の本旨」、そして「地方自治体の基本的権利」を7年間の取り組みからどのように感じておられるのか伺っておきたい。

A税源委譲は当然、基幹税である所得税、消費税のどちらかで行うべきだと考える。現在、消費税の中に地方消費税が1%ある。地方消費税率を一度決めたら、県や市で幅を持って決めることはできない。決まった額が地方にくるという地方交付税的な性格になってしまう。
 これに対して、所得税、住民税は地域住民が負担するもので、受益と負担の関係が明確になる。私は所得税を住民税に移していくべきだと考えるが、市長の所見を伺っておきたい。地方が活性化策に取り組むのは、その結果として住民の所得が増加し、住民税として還元されるためであるはずである。

 また、生活保護の補助率引き下げの問題や、義務教育費国庫負担金の削減については「問題あり」といわざるを得ない。

 これらのことに対して市長の考えを伺っておきたい。

(2)「国際自動車特区」「IT農業」など地域経済活性化施策の具体的な展開について

(3)国の「地域再生」への新たな取り組みの動きと本市の認識、対応について

 同じく3年前の再選直後の12月議会で市長は「不況感・停滞感を今後どれだけ打破できるかが私に課せられた課題だ」。その突破口が産学官連携事業をベースにした「国際自動車特区」であり「IT農業」であると考えます。
 豊橋には秀でた「豊橋技術科学大学」の存在もある。SC21の10年余にわたる取り組みもある。
 しかし、それは地域経済活性化という大義名分がすべてであり、「国際自動車特区」を突破口にしてどう地域を再生していくのか、その青写真がなかなかみえてこない。
 7月に行政視察で視察した石狩市港湾物流特区、11月に環境経済委員会で視察した姫路市の環境リサイクル経済特区や洲本市のITベンチャー育成特区においてもその取り組みはわかりやすいし、夢も膨らむ。
 しかし、冷静に考えれば構造改革特区も、別名、特区ビジネスといわれるように狙いは企業行動の自由化にあって、それが景気浮揚に結びつくという理屈である。
 姫路ではある鉄鋼メーカーの環境特区ではないのか、洲本では地元ベンチャー特区であり、我が豊橋でも自動車関連業者の特区でスタートしている。そのことを否定するつもりはない。
 しかし、本来、規制緩和改革とは様々なインフラを整え、地域の活力をつけることを目的としなければ、特区競争で地域格差は広がり、規制緩和とは逆方向に進んでしまうことにならないか。

 @国際自動車特区では。今後、どのような規制緩和に取り組み、新しいビジネス、雇用を拡大し地域経済活性化に結び付けていくのか。
 IT農業については「IT農業推進ビジョン」は発表になっていますが、しかし、産出額日本一の豊橋の農業をどう変えて、期待の持てる農業につなげて、豊橋の農業を再生していくのかという全体像は示されていません。
 豊橋も国の地域再生本部設置の動きにあわせ、その全体像を市民に示すべきでないのか。

 A「街に政策あり、現場に知恵がある」。地域再生本部でも「基本方針策定に当たって地域の声と要望を踏まえて、作成する」としています。
 「特区構想」でも「地域再生」でも地方の発想力が求められている。市内の企業家、ベンチャーあるいは農業者など、いやそれに限らずアイデアを情報収集すべきと考えるがどうか。

 次に「地域再生本部」の基本的な考え方に「国は行政サービスのアウトソーシングを阻害している要因を把握し、適切な対応策を講ずる等により地方公共団体の事務のアウトソーシングを促進する。」としていて、来年度予算編成作業に併せて、例えば「ごみ1tあたりの収集費用は外部委託の自治体では約8000円、直営の自治体では約18000円と2倍以上の格差がある。自治体のごみ・し尿収集には単価(03年度6700円)と人口に基づいて交付税に算入しているが、直営で非効率な運営となっている都市部の自治体は大幅な交付税減額となる」ということも決まってきている。

 また、豊橋では保育園が50園は民間、5園が公立、5園が地域バランスで配置され、豊橋の保育の先導的役割を果たしてきているのは評価できるとしても、公立に通う園児1人には170万円の予算が使われ、法人保育所の50園7810人には98万円が使われていることになり不公平感はぬぐえない。このまま5園を公立でやっていく意味はあるのかということもできる。

 B三位一体改革の流れからも、地域再生という視点からも「待ったなし」の新たなアウトソーシングの時代に突入していくが、その認識について伺っておきたい。

(4)ムダを一掃し徹底した行革と特権の排除について

(ア)公共事業コストの縮減への取り組みについて

 2000年の内閣府の調査によると、建築工事の1u単価は民間の12万8千円に対し、公共は21万7千円。約9万円割高。私達は資材の単価や仕様等の企画を見直すとともに、国・自治体における入札制度の合理化などを推進し、地域の実情にあったローカルルールの設定などで公共事業コストの20%縮減をめざしている。

 豊橋においても平成9年度から3年間の取り組みを経て、平成12年度から平成20年度末を期間とした新行動計画を実施されているが、残念ながら具体的な目標値は設置されていない。
 なぜ具体的目標が設置されていないのか。それは経年的な物価変動や事業量の変化によって一元的に推定することが困難であるということですが、平成15年度からはじめた「国の公共事業コスト構造改革プログラム」でも15%の総合コスト縮減率を設定し新たな取り組みを始めている。

 本市においても来年からは公共工事にスラグを使用するという新たな動きも具体的になってきた。県も電子入札の環境を整えつつある。また環境負荷をかけないという新たな視点も優先されなければならない。

 
@よって、国のこうした動きに呼応して目標値を設置し、現在の26項目135施策も見直し再検討したらどうか。

 A市民の側からムダな公共工事の典型的な例は、同じ道路を何度も掘り返し、水道工事、下水道工事、道路改良工事が行われることです。これをコスト削減のため、一括発注工事として施行できないか、当局の考え方を伺いたい。

(イ)私共が衆院選のマニフェストで掲げた1ヶ月単位で通勤手当が支給されていたが、民間では割引率の高い6ヶ月定期が常識。8月の人事院勧告もありこの度、是正された。このことにより本市では104人分の定期通勤者の手当が約240万円縮減されることになった。

 ちなみに、このことで40万人の国家公務員の通勤定期代が「6ヶ月定期」に切り替えることにより75億円削減できることになります。

 また通勤手当が2`未満の職員の月額通勤手当を2800円から1800円に引き下げることに決まった。このことにより497人分の年額約600万円が縮減された。
 しかし、歩いても通勤できる2キロ未満の通勤手当というのは「革靴のへり代」なのかという議論になれば、答弁にあったように、また廃止に向けて取り組む自治体が増えてきたように2`未満は廃止するのが妥当だ。

 次に調整手当。歴史的経過はあるでしょう。しかし、本来は物価が特に高く生計費がかさむ地域に勤務する国家公務員が対象である「調整手当」、それが愛知県の全市町村が一律10%支給しており、答弁にあるように「長きに亘り」の経過から既得権になり、特権となっているのではないのか。
 すでに三重県四日市市では今年7月に廃止、岐阜県各務ヶ原市は来年11月から廃止に踏み切った。

 「生計費として定着してきた」なら本給の中に入れればいいではないのかということもいえる。なぜ愛知県下は一律10%なのか。国家公務員が名古屋市内勤務は10%と人事院規則に定められているのが基準になっている。

 @これはやはり、原点に返って見直すべきではないのか。そのことによって豊橋市には「有能な人材が確保されなくなる」とするなら、その程度の人材に豊橋を背負う優秀な人材といえるのだろうか。改めて考え方を伺う。

(ウ)いうまでもなく「豊橋市長等の退職手当に関する条例」の第3条 退職手当の額は、退職の日におけるその者の給料月額にその者の在職月数を乗じて得た額に、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる割合を乗じて得た額とする。(1) 市長 100分の65 (2) 助役 100分の45 (3) 収入役 100分の35
 よって4年間の任期満了で市長は3441万円、助役は1998万円、1359万円支給されることになる。
 厳しい選挙を勝ち抜く必要がある、毎日が激務であることは十分認めつつも、それでも一般市民の感覚からすれば高すぎはしないか。また一般職員が4年間勤めて辞めたときの退職金とは比べようもないほど高い。

 これも「退職金」というものの原点に立てば退職金は、労働力不足で人材の引き抜き合いを緩和するためにできた制度だと思っている。
「ほかのところほど月給は出せないが、そのかわり長く勤めてもらえれば退職のときにはこれだけのことをさせていただきます」という感じで、人材の流出をくいとめるのが主目的であったはずだ。

 それなのに、首長などは多選の弊害が指摘されるような時代に、そこまで高額の退職金を血税から出す理由がどこにあるのか。

 @医療費や税金などの社会負担が増やされる中にあっては、なおさら理解が得られるはずがない。改めて考え方を伺う。

 


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