伊藤ひであきの地方からの提言


つれずれ随想      2003.06.20

●庶民から取るだけですか
  政府の税制調査会がまとめた中期的な税制改革の方向に関する答申は一体なんだろう。今の財政状況が続けば、中長期的には増税は避けられないことは国民の誰もが予測することだろう。しかし、だからといって、税収の落ち込みを次々と増税で穴埋めしようというなら、まともに働きもせず、贅沢もやめず、小遣いをせがむ道楽息子と同じだ。

 増税の前にやるべきことが一杯ある。税金を食いつぶす無駄な公共事業を廃止することだ。族議員が介入する不要な事業は依然としてなくならない。税の不公平是正だってなくならない。消費税の益税だって放置したままだ。それに、官僚の減量化だ。あぶれる職員をそのままでは、税金は人件費で消えてしまう。

 国民に痛みを押しつける前に、自らの身を削ってかかるべきではないのか。打つべき手を打たずに「取りやすい所から取る」という一番やってはいけない、一番やりやすいことをこの国はやろうとしている。


●言葉を整理しよう
 6月定例議会が20日の最終日本会議で終わる。今世紀初の市議選を終えて、新人議員も緊張のなかで定例議会を迎えたことだろう。議会の持つ独特の雰囲気、慣習、仕組み・・新人議員にはどのように映ったのだろうか。

 それでも、本会議一般質問に新人が3人登壇し、初々しい論陣を展開した。併せて17人がそれぞれの政治課題について質問した。その中で使われた言葉がいささか気になる。

 「コミュニティバス」とは何か。市民病院や建設中の国立病院への交通弱者、そのうえに病院通いする人たちのために用意すべき公共バスのことを指しているのだろうが。
 病院に向かうバスが時間通り運行され、乗降の便宜を図るためにはバス停がいる、時刻表がいる。多くの人にサービスしようとすれば路線が必要になる。ならば従来の路線バスとどう違うのであろうか。

 「女性専用外来」とは何か。女性特有の疾患について気軽に安心して受診していただけるよう、女性医師が診療を行い、必要があればそれぞれの専門医に紹介し、適切な医療を受けられるように支援を行うものというのが一定の定義。これは相談業務ではないのか、それとも診療行為か。女医でないとダメなのか。経験豊な男性医ではダメなのか。

 女性専用外来がなぜ注目を浴びだしたのか。女性の社会進出が進む中、男性も女性もあらゆる分野で活躍し、共に責任を担っていく社会をつくっていくためには、生涯にわたる女性の健康支援を推進していく必要があるとするなら、女性専用外来はこうした取組の一環でもある。するとこれは、市民病院を舞台にはするけれども、男女共同参画社会へのステップなのか。

 他にもある「コミュニティビジネス」、「マニフェスト」など言葉の定義があいまいなまま、言葉だけが先行し議論されている傾向はないか。


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