伊藤ひであきの地方からの提言


市民発の発想で自立した地域づくりを      2003.04.17

●この国の根底が崩れていく
 新しい春がめぐって、総代会の新しい役員の会合が行われている。
「我が町内は180世帯ですが、今年の小学校の新入生は3人で、小中学生はこれで29人。ところが65歳以上の方は96人もおられ、少子高齢化が地域の中にはきりしてきました」と町総代。
 地域を歩けば八百屋さんの店先に「長い間お世話になりましたが今月末を持って閉店させていただきます」との「閉店お知らせ」の看板。
 人気があった東田電停角の「大判焼きの店」も先月末で45年の歴史を閉じた。最後の日は行列までできて、別れを惜しんだ。
 中心市街地活性化に取り組んでいる豊橋駅周辺でこの夏、西武百貨店がシャッターを降ろす。

 地域力が落ちていく。それに代わる突破口がみつからないまま・・・。この国の土台部分が崩れ始めていることを否応なく思い知らされる。
 その危機感に地方の政治に携わる一人として身震いする日々です。

●立ちすくむ国、地方が先を走れ
 一方、小泉改革の行方は霧の中。立ちすくむ国を尻目に、市民発の柔軟な発想で役所の硬直性をしのぎ、地方が市民とともに先を走り、この国の政治を変える以外にない。
 地方自治は単に国からもらう資金で事業を配る「行政」ではない。税を納める住民の選択によって地域が進む方向を決める政治でもある。
 改革の主役は生活現場に根ざした市民であり、「街に政策あり、生活に政治あり」が基本である。

 37万の愛知県二番目の中核都市−豊橋は規模からも歴史からも、その可能性のローカルのまっただ中にあると思う。
 「自分のごみは自分で持ち帰ろう」と市民団体が全国発信した530運動は30年の歴史を刻む。
 昭和35年、大火から立ち上がる勇気付けとなった飯田のりんご並木に学んだ青陵中生徒会は青陵街道に「夏みかん並木をつくろう」と穴を掘り育てた。今年も黄色い夏みかんがたわわに実った。
 朝倉川沿いに住む私たちが、あまりにもごみの多い朝倉川を15人で清掃したのが13年前の夏。「朝倉川を守る会」を作って、黙々と取り組んだ。今や、市民2000人が参加する「朝倉川530大会」となり、4月19日にも行われる。

 今世紀初の統一地方選挙はこうした市民との協働の試みが、「日本再生」の可能性を促す突破口にしなければならない。


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